カナダ移民局は、現在施行されている留学生に対する渡航制限を、2020年9月にスタートする秋セメスター開始に間に合うように緩和させる可能性を検討しているようです。
3月18日以降施行されている留学生に対する渡航制限では、3月18日より前に審査が終了している学生ビザを保持していない限り、カナダに入国することができなくなっています。また、数日前に米国からの留学生については渡航制限の例外として認められましたが、日本をはじめとする米国以外の国からの留学生は、いまだに、カナダに入国するためには一定の基準を満たしている必要があります。
移民省、保健省、両大臣による話し合いが進む
このような状況の中で、マルコ・メンディチーノ移民大臣とパティ・ハイドゥ保健大臣が、渡航規制解除についてやり取りを交わし、規制緩和について話し合いを持つ動きが明らかになりました。
具体的に求められている話し合いの内容として、カナダの各州政府、および各教育機関(DLI)が、今後数か月のうちで、より多くの留学生をいかに安全にカナダに迎え入れるかの方法についてが含まれていました。この返答期限が7月24日であったことから、8月1日以降の留学生に対する渡航規制緩和については、既にある程度決定していると考えられます。
* DLI(Designated Leaning Institution)とは、留学生を受け入れることをカナダ政府(国)や州政府によって認可されている、大学、カレッジ、その他の教育機関です。
カナダが教育に関する政策を制定するにあたっての事情
カナダの法律では、教育は州および準州の政府が管轄しています。また、カナダは他の国とは異なり、国として教育を統括する省を持っていません。そのため留学生に関連する政策を決める際には国の複数の部署が関わり、同時に、各州や準州の教育省に意見を求めることとなるのです。
現在カナダが施行している新型コロナウイルスの蔓延を防ぐことを目的とした渡航制限は、国が管轄する政策となります。そしてこの渡航制限は、留学生を歓迎しようとしている州や準州の意思とは反することになります。
ですが、前述する2人の大臣は、留学生の受け入れが、カナダの学習環境、社会、経済にとっていかに重要であるかを認識しているようです。教育に対する州、および準州の決定権を尊重しつつ、その一方で、カナダ政府が打ち出す新型コロナウィルスのさらなる拡大を制限するための対策の維持、その双方のバランスがとれる方策を模索しています。
移民大臣と保健大臣は、留学生とカナダの国民の健康と安全をサポートするために、カナダ政府と州・準州政府、そして教育機関が、互いに協力して取り組む必要があると説明しています。
留学生受け入れのガイダンスが近く発表の見込み
カナダがどのようにしたら多くの留学生を迎えられるかについてのガイダンスは、近くカナダ政府より発表される予定です。このガイダンスは、学生、政府、および教育機関がどのように対応するべきかの指針を示すものとなります。たとえば、学生はカナダに入国後、14日間は自己隔離しなくてはいけない、等のルールは含まれると思われます。
前述の移民省、保健省の大臣は、各州や準州が、留学生(場合によってはその家族も含む)を受け入れる体制が整っているどうかを確認するため、以下の情報提供を各州・準州の教育管轄省庁に求めています。
- 各州が承認した学校のリスト
- 学校の責任で、学生がカナダの14日間の自己隔離義務がきちんと行われているか監視すること
- 各管轄区域の責任と、州・準州の公衆衛生当局の要件の遵守を確保する準備
- COVID-19をテスト、追跡、分離し、その拡散を防ぐためのリスク軽減計画
- 公衆衛生ガイドラインを維持するための期待、役割、責任についての積極的な働きかけとDLIおよび各コミュニティとのコミュニケーション
- カナダの留学生のコロナウイルス関連のリスクを監視および管理するための、州・準州と連邦政府の間のコラボレーションと情報共有への取り組み。
カナダの渡航規制は今のところ7月31日までです。 したがって、カナダ政府が8月1日以降、学生を渡航規制から外すかどうかは、近日中に発表になるはずです。
3月中旬にパンデミックが始まって以来、カナダはコロナウィルスの新たな感染者の増加を少ない数に抑え続けることが出来ています。カナダのコロナウイルス数が少ないのは、外国からの渡航制限を含む厳しい公衆衛生対策にあります。
カナダは、パンデミック以前は、年間に640,000人以上の学生を受け入れ、220億ドルを経済に貢献し、留学生は、毎年約17万人の雇用を支えていました。
このような全体像を見ると、カナダは留学生の渡航規制を緩和する可能性が高いと、ビザJPカナダでは考えます。
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