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2026年4月21日および28日にカナダ移民局(IRCC)が開催したエクスプレスエントリー改革に関するステークホルダー向けウェビナーに、白石ビザJPカナダ代表の白石有紀が参加しました。
本記事では、そのウェビナーで示された最新情報をもとに、今後のエクスプレスエントリー制度がどのように変わっていくのか、実務的な視点から整理します。今回の内容は、制度変更のスピードや優先順位など、今後の戦略に直結する重要なポイントを含んでいました。
エクスプレスエントリー改革は「一括変更」ではない
今回のウェビナーでまず明確にされたのは、エクスプレスエントリー改革は一度にすべてが変わるものではないという点です。IRCCによると、今回の改革は大きく次の2つに分かれており、実施までのスピード(タイムライン)が異なります。
- エクスプレスエントリー制度全体の構造変更
- CRS(スコアリング)や選考ルールの調整
| 改革の対象 | 実施までの見込み期間 | 変更に必要な手続き | 特徴・影響 |
|---|---|---|---|
| ① 制度全体の構造変更 (FSW・CEC・FST等の一本化) | 12〜18ヶ月程度 | 法改正が必要 | 中長期的な制度改革として位置づけ |
| ② CRSスコアの評価基準 (加点ルールの調整など) | 先行実施の可能性あり | 大臣指示(Ministerial Instructions)で実施可能 | 法改正を伴わないため、比較的短期間で変更可能 |
①制度全体の変更には12〜18ヶ月程度
エクスプレスエントリーの枠組みそのもの(フェデラルスキルドワーカー/FSW・カナディアンエクスペリエンスクラス/CEC・フェデラルスキルドトレード/FSTなどの一本化)を見直す部分については、法改正が必要となるため、実施には時間がかかる見込みです。
目安として、12〜18ヶ月程度はかかるとのことでした。つまりこれは、中長期的な制度改革として位置づけられています。
②CRSスコアの変更は先行実施の可能性
一方で重要なポイントとして示されたのは、CRSスコアの変更は制度本体よりも早く動く可能性があるという点です。
CRSの変更は、Ministerial Instructions(大臣指示)によって実施可能であり、法改正を必要とせず、比較的短期間で変更できるため、制度全体の完成を待たずに評価基準のみが先行して変更される可能性があると説明されました。
高収入職種の優遇(High-Wage Occupation factor)は先行導入か
今回の改革の中でも注目されているのが「High-Wage Occupation factor(高収入職種評価)」です。現時点で示されている方向性は以下の通りです。
- 職種ごとの賃金水準を基準に評価
- 個人の給与ではなくNOCコードベースで判断
- 中央値賃金を基準とした段階的な加点
この仕組みは、制度全体の改革よりも先に導入される可能性があるとされています。
※この「高収入職種による評価強化」については、今回のウェビナーの中でも特に注目されているテーマの一つです。具体的な内容については、後日改めて弊社から詳しく解説する記事を出す予定です。
技能職・教育評価の見直しと「廃止の可能性があるポイント」
評価基準の重心が、従来の「学歴・滞在歴」よりも「職種・資格・市場価値」へと明確に移り始めています。ウェビナーでは、以下の見直し案や廃止候補が具体的に挙げられました。
年齢ポイントは現時点で変更なし
ウェビナーでは、年齢に関するCRSポイントについては現時点で変更予定はないことも明確に示されました。エクスプレス・エントリーにおいて年齢スコアは全体への影響が非常に大きいため、多くの申請者にとって、短期的には重要な安定要素と言えます。
技能職・教育評価の見直しも検討
その他の論点として、以下の方向性も示されました。
- 技能職は資格ベース評価の強化(Red Sealなど)
- 一部職種ではCertificate of Qualificationの重要性が上昇
- カナダ国内学歴の追加ポイント見直し(縮小の可能性)
全体として、「学歴・滞在歴」よりも「職種・資格・市場価値」に重心を移す方向性が見えてきています。
廃止の可能性があるポイント
今後の制度改定において、以下の加点項目については廃止される可能性があると言及されました。
- 第二公用語
- 兄弟姉妹がいることによる加点
- 配偶者に関するポイント
今までに経済貢献に影響しなかったポイントについては廃止する方向とのことです。
すでにエクスプレスエントリープールにいる候補者への影響
実務上重要なポイントとして、以下も説明されました。
- プール内の候補者は将来的にCRSスコアが再計算される可能性あり
- ただしITA(招待状)発行後の申請は旧ルールで処理される
つまり、「これからの候補者」と「すでにITAを受領した候補者」で扱いが分かれる可能性があります。
まとめと白石有紀からのコメント
今回のウェビナー全体から見える大きな方向性は、Express Entry改革は一括ではなく段階的に、しかも一部は前倒しで実施される可能性があるという点です。
特に重要なのは以下の3点です。
- 制度全体はまだ完成まで時間がかかる
- CRSスコアは先に変更される可能性がある
- 職種ベース評価への移行が進んでいる
つまり、現在のCRS前提で長期戦略を立てることが以前より難しくなっている状況です。
白石有紀からのコメント(ウェビナー参加を踏まえて)
今回のウェビナーを通して強く感じたのは、エクスプレスエントリー改革がすでに「構想段階」ではなく、「実際の制度設計と実装フェーズ」に入っているという点です。特に印象的だったのは、制度全体の変更を待たずに、CRSスコアの調整が先行して行われる可能性があるという説明でした。これは申請者にとって、現在のスコア設計や戦略が長期間そのまま通用するとは限らないことを意味します。
今後は、単にカナダでの就労経験を積むという従来の考え方だけではなく、「どの職種で、どの賃金水準に位置しているか」がより重要になる流れが強まっていくと感じました。制度の詳細はまだ確定していませんが、方向性としては明確に「経済的成果を重視する選考」へシフトしています。
今後も正式な発表を注視しながら、実務的な影響について引き続き情報発信していきたいと思います。
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この記事の監修者
白石 有紀 (Yuki Shiraishi)
日本生まれ。アメリカミシガン大学にて学士取得後、ニューヨークの大手旅行会社にてマーケティングコンサルタントとして6年間、旅行商品の企画開発業務に携わり、その傍らニューヨーク市立大学MBAコースに就学。その後日本に戻り、同旅行会社のビザセンターにてマネージャーとして主に外国籍クライアントを担当し、世界各国各種ビザ申請業務を行う。
2005年にスキルドワーカーとしてカナダへ移民。University of British Columbiaの移民コンサルタント養成コースを経てカナダ政府公認移民コンサルタントの資格を取得。カナダ永住権、及び短期ビザ(就労、学生、一時滞在など)申請取得コンサルティングを専門とする。「どんな人にも必ずカナダ永住権取得の可能性がある」をモットーとし、幅広いビザ情報に精通し、個々のお客様へのベストな永住権取得シナリオ提案を得意とする。カナダ移民コンサルタント協会(College of Immigration and Citizenship Consultants)、及びカナダ移民コンサルタント連盟(Canadian Association of Professional Immigration Consultants)の正規メンバー。 各メディア、カナダの日系コミュニティーでもビザに関する情報監修やセミナー講師として活躍中。企友会(バンクーバー日系ビジネス協会) 会長 President として、BC州の日系事業家、起業を目指す方、BC州で働く全ての方を支援している。ビザJPカナダ、人材カナダ代表。
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