アメリカから多数のSkilled Workerがカナダへ
カナダに移民したアメリカ在住者の数は、2017年から2019年の間に75%増加。他の国よりもはるかに高い伸び率。

米国のシンクタンク(CSET: Center for Security and Emerging Technology)がこのほど発表した新しい分析結果によると、アメリカからカナダに移民した人で、アメリカ国外生まれ、かつスキルドワーカーである人の数が、過去2年間、これまでにない最も多い数字を記録しました。
この分析は、カナダ移民局が発表した昨年度データに基づいて解析されたものです。この結果から、エクスプレスエントリーシステムを利用してカナダに移民したアメリカ在住者は、2017年から2019年の間で、75パーセントも増加していることがわかりました。これは、他の国の同じ数字よりもはるかに高い増加率で、他の国より2倍以上の増加率である場合も多く見られました。
このデータ結果から、カナダが近年、アメリカのスキルドワーカーにとって魅力的な国となっていることは、明らかです。
米国からカナダに移住する人が急増、その背景は?
CSETのデータによると、カナダに移民するアメリカ在住者の急激な増加は、以下2つの要因によるようです。
- 近年、より多くのアメリカ在住者が、カナダに移り住むことを希望している
- カナダの永住権を求めるアメリカ居住者の多くがExpress Entryシステムで高いスコアが取れる(年齢、教育、仕事のスキル、英語またはフランス語力の高さでスコアをつける)
アメリカ市民権を持っていない米国在住者の数は、2017年から2019年の間に少なくとも128%増加しています。この同じ期間、Express Entryを通じてカナダに永住権を申請してInvitation to Apply (ITA)を受け取ったアメリカ在住者の数は約26,000人でした。
このITAを受け取った約26,000人のうち、大多数(20,000人以上)が、アメリカの市民権を持っていないアメリカ在住者、つまり、アメリカ永住権保持者や就労ビザ、学生ビザ保持者などでした。
米国在住スキルドワーカーがカナダ移住を選択する理由は?

この近年の傾向に対して考えられる主な理由として、以下の2つがあげられています。
- 現在のアメリカの移民システムのあり方が、高いスキルを持つ人々にとっては、アメリカに移民したいという意欲を下げてしまうとても大きな要因になっているのではないかということ。
- それに対しカナダは、有能な人を世界中から呼び寄せたいという明確な方向性を、引き続き発信していること。
近年カナダ政府は、スキルドワーカーのため、より多くの人が利用しやすいシンプルで寛容な移民システムを構築してきました。これによって、カナダの先端テクノロジー企業が優秀な人材を世界各国から確保できるようになりました。
一方のアメリカでは、トランプ大統領の移民に関する強行的なやり方や就労移民受け入れ停止の大統領命令行使などは、移民に対する敵対感情をアメリカ国内に生み出してきたように思います。それを受けて、アメリカ国外生まれの在住者たちは、深刻な不安を感じでおり、米国以外の他の場所で新たに生活を始めようと思うことが多いようです。
ビザJPカナダにも、アメリカ在住の方からのお問い合わせがとても増えています。ある日は、5件いただいた新規のお問い合わせのうち、すべてがアメリカ在住の方からだったということもありました。
現在、スキルドワーカーを増やすという点で、カナダは間違いなく、アメリカをリードしていると感じます。
