「2018年10月17日からのマリファナ合法化をトルドー首相が公言」というニュースが、カナダ国内のみならず世界各国でも話題となりました。
娯楽目的での大麻使用を国として合法化するのはG7(主要7カ国)としては初、ウルグアイに次いで世界2カ国目だそうです。
マリファナ合法化推進は、ジャスティン・トルドー首相の就任前の公約でもありました。この合法化の動きを理解しがたいと感じる方に向けて、その理由をまとめてみました。
【2026年9月更新】この記事は、娯楽用大麻が合法化される前の2018年に執筆したものです。カナダでは2018年10月17日に大麻法(Cannabis Act)が施行され、それ以降、成人は連邦政府と各州・準州が定めるルールのもとで合法的に大麻(カナビス)を購入・使用できるようになっています。ただし、カナダ国外への持ち出し・カナダへの持ち込みなど、国境を越えて大麻を運ぶことは現在も違法です。
マリファナを合法化するに至る背景
マリファナ合法化をする理由には、以下のような社会的問題を含む背景がありました。
- 販売が違法であるにも関わらず多くの大麻が流通、愛好家が多いこと
- 若年層へのマリファナ流通を規制できていないこと
- 違法マリファナ流通、販売が犯罪組織の収入源になっていること
日本で大麻(マリファナ)は、麻薬と一緒に取り締まられるイメージがあるかと思います。一方カナダでは、タバコに近い嗜好品として捉える人が多いです。カナダで暮らしていても、その認識は広く一般に広まっているように思います。
医療目的での大麻利用は、その鎮痛、リラックス作用から以前から合法で、ライセンスを得た薬局で一般販売もされていて、近年では医療用大麻自動販売機すら登場しています。癌の進行を抑制するなど、広範囲での医療利用なども研究が進んでいます。
そのような状況から、娯楽目的での利用が違法であるにも関わらず、愛好者が増えており、法律の形骸化が進んでいました。娯楽大麻を違法とする法律は形だけのものとなり、警察が大麻所持や吸引を見ても注意するだけ、大麻愛好者の大イベントが白昼堂々と街中で開催できるような状況だったのです。
そして個人売買も含め、簡単に入手できる方法、違法流通網が多く存在していました。それらの販売利益は、特に麻薬(ドラッグ)犯罪組織の大きな資金源になっていると言われてきました。これがカナダという国にとって大きな社会問題だったのです。
合法化して規制する方が得策であるという判断
このような社会的背景の中で、今さらマリファナを法律で禁止したところで、マリファナ愛好家がなくなるわけではない状況です。かといって、規制のない無秩序な流通環境は、未成年者のマリファナ購入抑止につながらず、これも問題視されていました。カナダの人たちも、発育段階である若年層のマリファナ娯楽利用は有害である、と認識しています。
そのような理由と背景があり、娯楽目的使用を合法化した上で販売に規制を設け、現実に即した法規制を施行する方が得策であると判断したのです。
現在施行されている法律では、アルコールやタバコと同じように、マリファナ購入にID提示が必要で、各州・準州が定める年齢に達していない未成年者は購入できません(ブリティッシュコロンビア州を含む多くの州で19歳、アルバータ州で18歳、ケベック州で21歳)。成人が公共の場で所持できる量にも上限があります(乾燥大麻30グラム、またはそれに相当する量)。販売にはライセンスが必要となり、個人売買も処罰の対象です。特殊税が課税され、政府の財源ともなります。
未成年者を大麻から遠ざけ、税収を得て、違法販売から犯罪組織が得る資金源を絶つ、マリファナ合法化にはこのような狙いが含まれているのです。
とはいえ、まだまだ賛否が残るマリファナ娯楽目的利用の合法化。例えマリファナの有害性が低いとしても、それが危険ドラッグへ手を出したりするきっかけ(ゲートウェイドラッグ)になるのではないか、という主張は根強いです。
そしてまた、マリファナは有害性が低く、節度ある娯楽目的の使用に問題ないという考えは、日本の社会的認識とはまだまだ程遠いですね。日本人としてカナダに在住、滞在する皆さんとは、今後も慎重に考えていきたいテーマだと思っています。
追記(2018年7月5日)
日本は大麻(マリファナ)の所持、譲渡が違法とされている国です。日本人の皆さんには、カナダ在住、滞在中であってもこの規定が適用されることがあり、日本の法律を遵守するということは、カナダ国内でも大麻に手を出さないということです。
この点に関しても、しっかりと理解していかなくてはなりません。また改めて情報をまとめて発信しながら、皆さんと考えていきたいと思います。
移民コンサルタント
白石 有紀 (Yuki Shiraishi)
アメリカミシガン大学にて学士取得後、ニューヨークでマーケティングコンサルタントとして働く傍らニューヨーク市立大学MBAコースに就学。その後日本での旅行会社マネージャー経験を経て、カナダでのイミグレーションの仕事へ。2010年から移民コンサルタントとして活躍。白石ビザJPカナダ代表。
関連コラム
関連ニュース
永住権・ビザ取得なら
今すぐ相談しよう
カナダへの永住権やビザ申請は、自分で行う場合、提出書類が多くて大変で、間違いがないか不安に感じることもあるかもしれません。しかし、本気でカナダへの移住を考えているなら、移民コンサルタントのサポートを強くおすすめします。あなたの年齢、職業、家族の有無などによって、永住権を取得する方法はたくさんあります。専門家の助けを借りることで、自分の状況に合ったプランニングを確実に行うことができます。
プロの移民コンサルントがお悩みを解決
今すぐ無料相談する
移住プランニングから申請まで
白石ビザJPカナダひとつで完結
移民コンサルタントに相談すると、よりわかりやすく、スムーズに進めることができるでしょう。書類の提出や手続きにおいても安心感が増し、失敗のリスクを減らすことができます。あなたの夢を実現するために、専門家のアドバイスを受けながら、確実にカナダへの新しい一歩を踏み出しましょう。
イベント情報
タグ一覧
ランキング
2026年9月22日
ビザ申請で困った!カナダ移民局(IRCC)に問い合わせる4つの方法
カナダのビザ申請中に問題が起きたとき、移民局へ連絡したくても方法が分からず困るケースは少なくありません。 審査が進まない、届いたメールに質問や異議がある、といった場面で使えるWeb Form、メール、
2026年9月24日
カナダで日本人が日本語の強みを活かせる仕事おすすめ12選
白石ビザJPカナダの求人情報部門ウェブサイト「人材カナダ」には、日々カナダ国内の多くの求人情報が寄せられています。 最近では日本人だからこその強みを活かせる求人が増えてきており、カナダで日本人が活躍で
2026年9月24日
電子渡航認証(eTA)と観光滞在の違いを理解しよう
カナダに渡航する際、「電子渡航認証(Electronic Travel Authorization:eTA)」や「観光滞在」についての正しい知識が必要です。 しかし、これらの違いを正確に理解していない
2026年9月20日
ビザや永住権の審査期間と進捗状況の調べ方と手順を解説
ビザや永住権の申請をオンラインですると、ほとんどの場合その当日か翌日には、カナダ移民局から「申請を受理しました。」というレターが届きます。「あ~よかった。 」と一安心しますが、その最初の連絡が来て以降