カナダ移民局(IRCC)は、2026年11月3日、エクスプレス・エントリー(Express Entry)におけるジョブオファーの審査について、LMIA(Labour Market Impact Assessment/労働市場影響評価)に関する要件を免除できる新たな特別措置を施行しました。
今回の変更により、一定の条件を満たすジョブオファーがあれば、LMIAを取得していなくても、Federal Skilled Worker Program(FSW)またはFederal Skilled Trades Program(FST)の申請資格を満たせる可能性があります。
この措置は、同日に導入されたExpress Entryの新しいCRS加点制度と連動し、申請者と雇用主の負担軽減を目的としています。
LMIAなしのジョブオファーでも永住権申請の資格要件に利用可能に
これまで、FSWやFSTでジョブオファーを申請資格に利用する場合、原則として雇用主がLMIAを取得する必要がありました。一部のLMIA免除ワークパーミット保持者には例外がありましたが、現在の雇用主のもとで一定期間勤務していることなどの条件がありました。
今回の特別措置では、適格なジョブオファーについて、次のような従来の要件の免除が認められる可能性があります。
- 雇用主がLMIAを取得していること
- ジョブオファーを出す雇用主が、現在のワークパーミットに記載されている雇用主であること
- 現在の雇用主のもとで継続して1年以上勤務していること
これにより、従来の条件ではジョブオファーを利用できなかった方にも、新たな可能性が生まれます。
LMIAなしのジョブオファーに求められる5つの審査条件
LMIAの取得が不要になる一方、ジョブオファーの内容や雇用主の適格性についてはIRCCが審査します。主な条件は次の5つです。
- 雇用主が実際に事業を行っていること:ジョブオファーに関連する事業を現に運営していること。
- 採用に合理的な必要性があること:そのポジションを採用する合理的な事業上の理由があること。
- 雇用条件を履行できること:提示した給与やその他の雇用条件を実際に提供できること。
- 申請者に関連する職歴または学歴があること:オファーされた職種に関する過去の職務経験または教育があること。
- 雇用主に過去の法令違反がないこと:就労予定の州で適用される連邦・州の雇用や採用に関する法令への過去の違反がないこと。
LMIAが不要になっても、どのようなジョブオファーでも認められるわけではありません。IRCCは事業実態や採用の必要性、雇用条件などを確認します。
FSWの67点評価でもジョブオファーの10点を獲得できる可能性
FSWでは、CRSスコアとは別に、学歴、語学力、職歴、年齢などに基づく評価で67点以上を獲得する必要があります。適格なジョブオファー(Arranged Employment)がある場合、最大10点が加算されます。
今回の特別措置では関連するLMIAやワークパーミットの要件の一部が免除されるため、LMIAを取得していないジョブオファーでも、FSWの67点評価で10点を獲得できる可能性があります。ただし、その他の申請資格要件は引き続き満たす必要があります。
CRSのジョブオファー加点制度との違い
2026年11月3日には、Express EntryのCRSについても、高賃金職種のジョブオファーやカナダでの就労経験に関する新たな加点制度が導入されました。
ただし、FSW・FSTの申請資格を満たすためのジョブオファーと、CRSで加点されるジョブオファーでは適用条件が異なります。FSWの67点評価で10点が認められても、CRSでのジョブオファー加点が必ず認められるわけではありません。CRS加点の対象となる職種や賃金水準などは、別途確認する必要があります。
対象はFSW・FSTの申請者|2026年11月3日から施行、CECは対象外
今回の特別措置は、2026年11月3日以降にExpress EntryのITA(Invitation to Apply/永住権申請への招待)を受け、FSWまたはFSTで永住権申請を行う方が対象です。Canadian Experience Class(CEC)は対象に含まれていません。
特別措置は2026年11月3日から有効で、終了日は設定されていません。ただし、移民大臣の判断により、いつでも撤回される可能性があります。
永住権を目指す方が確認しておきたいこと
今回の変更により、これまでLMIAを取得できずジョブオファーを申請資格に利用できなかった方にも、新たな選択肢が生まれました。特に次のような方は、現在の状況を改めて確認することをおすすめします。
- FSWの67点評価で、ジョブオファーによる10点があれば申請資格を満たせる方
- カナダの雇用主からジョブオファーを受けているものの、LMIAを取得していない方
- LMIA免除のワークパーミットで働いているものの、従来のジョブオファーに関する条件を満たしていなかった方
- 高賃金職種のジョブオファーによるCRS加点の対象となる可能性がある方
なお、今回の変更は永住権申請におけるLMIA関連要件の緩和であり、カナダで働くためのワークパーミットの取得要件が免除されるわけではありません。また、ジョブオファーが認められても、永住権の取得が保証されるものではありません。
白石ビザJPカナダでは、Express Entryの申請資格やCRSスコア、ジョブオファーの適格性などを確認し、それぞれの状況に応じた永住権取得の可能性をご案内しています。
このニュースはカナダ政府の公式情報を元に白石ビザJPカナダが内容を整理し、わかりやすくまとめたものです。
出典:Temporary public policy to exempt Labour Market Impact Assessments and related requirements for qualifying job offers for eligibility under Express Entry(英語)
移民コンサルタント
白石 有紀 (Yuki Shiraishi)
アメリカミシガン大学にて学士取得後、ニューヨークでマーケティングコンサルタントとして働く傍らニューヨーク市立大学MBAコースに就学。その後日本での旅行会社マネージャー経験を経て、カナダでのイミグレーションの仕事へ。2010年から移民コンサルタントとして活躍。白石ビザJPカナダ代表。
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