目次
「カナダへの移住」と聞くと、真っ先にバンクーバーやトロントなどの主要都市を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、BC州の内陸部に位置する地方都市「ケロウナ(Kelowna)」は、自然豊かで暮らしやすく、大都市とはひと味違う魅力を持っています。さらに、主要都市よりも、カナダ永住権(PR)を取得しやすい可能性があることから、ケロウナで永住権を目指す方も増えてきました。
ケロウナとは?|自然×都市機能の絶妙なバランス
カナダ・ブリティッシュコロンビア州(BC州)の内陸部、オカナガン湖に面した地域に位置するケロウナは、人口約14〜16万人(周辺部を含めると20万人以上)を擁するBC州第3の都市です。温暖な気候、広大な自然、美しい湖畔リゾートなどが特徴で、夏は水上アクティビティ、冬はスキーやスノーボードと、一年を通じてアウトドアが楽しめる環境が整っています。
また、ダウンタウンにはカフェやレストラン、ショッピングモールもあり、ほどよく都市機能があるため「自然と都市生活のバランスが非常に良い」と言われています。そのため、子育て世代やシニア世代の方にも「住みやすい」と評判が高く、“カナダの軽井沢”と呼ばれることもあります。
オカナガン湖
ケロウナの街と湖を一望できる「Knox Mountain」は地元民や観光客に人気のハイキングスポット。夏には湖でパドルボードやフローティングを楽しむ人が多く、冬場には山でウィンタースポーツが盛んです。

ワイナリー巡り
ケロウナには大小合わせて40以上のワイナリーがあります。Mission HillやSummerhillなど有名どころはもちろん、個人経営の隠れ家的ワイナリーも多数。地元産ワインを気軽に試せるのもケロウナの魅力です。

こうした豊かな自然環境と程よい都市機能を備えたケロウナは、「都会の喧騒から少し離れつつも、必要なものは手に入るバランスの良い環境で暮らしたい」という方にピッタリな地域と言えるでしょう。
ケロウナでカナダ永住権を取るメリット
「永住権」を取得するとなると、バンクーバーやトロントなどの大都市部が頭に浮かぶ方は多いでしょう。しかし、あえて地方都市のケロウナを選ぶメリットも見逃せません。
1. 英語環境にどっぷり浸かれる
バンクーバーなどの主要都市には日本人留学生や移民が多く、日本語コミュニティも充実しているため、英語以外の言語に触れることが多いです。一方で、ケロウナは日本人留学生・移住者が比較的少なく英語を使う機会が多いため、英語力アップを目指す人にとって理想的な環境です。
2. 仕事探しの競争率が低め
大都市圏と比べて人口が少ないケロウナでは、留学生や移民からの求人応募数自体が少なくなる傾向があります。飲食店やホテル、ワイナリー、ショップの販売員など、サービス・観光関連の仕事を中心に、比較的採用されやすいという声も多いです。
3. 生活コストがやや安い(ただし上昇傾向に注意)
バンクーバーのような大都市に比べれば、家賃や日用品の価格がやや抑えめというメリットがあります。しかし近年はカナダ全体で家賃・物価が上昇しているので、事前の下調べは必須です。
ケロウナで利用できる主なビザ・永住権取得ルート
1. 州のノミネーションプログラム
州のノミネーションプログラム(PNP)は、カナダの各州が独自に設定する移民プログラムです。BC州にはBC PNPと呼ばれる州推薦制度があり、特定の職種や地域、スキルを持つ候補者を優先的に移民推薦する枠があります。ただし、2025年のBC PNPの枠は4,000件となっており、BC PNPを利用しての永住権申請は難易度が上がっています。
BC PNPの一例
- Skilled Worker: スキルレベル0, 1, 2, 3の職種で最低2年間のフルタイムの実務経験がある方を対象としたストリームです。
- Tech and Priority Occupation: 医療、保育、IT、建設分野の特定技術・専門職が優先されます。
ケロウナにおける活用
BC州内で特に人材が不足し需要が高い職種に就いた場合、Tech and Priority Occupatioの対象となります。
2. Okanagan College卒業→ポスグラ→永住権
Okanagan Collegeはケロウナにメインキャンパスを構える公立カレッジ。移民局が指定した専攻分野を修了すると、ポストグラデュエートビザ(PGWP)が取得できます。PGWP期間中にカナダ国内の企業で職歴を作ることで、永住権申請に一歩近づくことができます。
メリット
- 雇用主のサポート(LMIA)なしで働くことが可能です。
- 取得した職歴やスキルを元にPNPやカナダ政府移民プログラムへの申請が可能です。
【注意点】
- 私立カレッジよりも比較的高い入学要件(英語力・学力)を満たす必要があります。
- どのプログラムでもPGWPの対象となるわけではありません。ご希望のプログラムがPGWP対象になるのか、学校に直接お問い合わせください。
3. LMIA就労ビザ→永住権申請
LMIA(Labour Market Impact Assessment)とは、カナダ人や永住権保持者で担えない職を外国人に任せる必要があるかどうかを審査するプロセスです。雇用主がLMIAを取得し、その企業で外国人を雇用した後、一定期間就労経験を積むことで、永住権申請に一歩近づくことができます。
ケロウナの例
飲食業やホテル業、ワイナリーでのクック、シェフ、スーパーバイザーやマネージャーのポジションで就労ビザをサポートしてくれる雇用主を探します。
デメリット
- LMIA取得には手間と費用がかかるため、雇用主が敬遠されるケースもあります。
- LMIA就労ビザは職種・雇用主が特定された条件付きのビザ(employer-specific work permit)のため、職場変更ができません。
4. ワーキングホリデーからの移行
ワーキングホリデービザは日本人なら18〜30歳までの若年層が対象となるビザで、最大1年間カナダで働きながら休暇を過ごせる仕組みです。ケロウナはリゾート地として観光業が盛んなため、ワーキングホリデーで滞在する人が増えています。ワーキングホリデービザは、他の就労ビザと比べると取得難易度の低いというメリットがあります。
ワーホリからの移行パターン
- ワーキングホリデー期間中に現地企業と信頼関係を築く
- LMIA就労ビザにつなげる
- 永住権申請を目指す
【注意点】
- ワーキングホリデービザは期間が1年と限られているため、早めに次のステップ(就労ビザなど)を計画する必要があります。

必要な英語力と学習方法:ケロウナならではの強み
カナダ永住権を取得する上で、英語力の高さは大きなアドバンテージになります。IELTSやCELPIPなどのスコアで一定基準を満たすと、ポイントが加算されるのです。ケロウナで暮らす場合、大都市に比べて日本語環境が少ないため、英語を使う機会が自然と増え、短期間で英語力を伸ばしやすいというメリットがあります。
英語学習のコツ
Okanagan College付属のESLコースや現地の語学学校に通ったり、ローカルのボランティアやイベントに積極的に参加し、英語を実際に話す機会を作ったりすることで、英語力の向上が見込めます。
目標スコアの目安
永住権申請プログラムによって必要な英語力のスコアは異なります。移民局が指定した語学検定(CELPIPやIELTSなど)で、CLB7~9の取得を目標にすると良いかもしれません。
ケロウナの仕事事情:観光・サービス業を中心に狙う
ケロウナは観光・サービス業が盛んな地域です。夏は湖畔リゾートやワイナリー巡り、冬はスキーリゾート客が集まり、年間を通じて観光客が訪れやすいのが特徴。そのため、飲食・ホテル・ツアーガイド・ワイナリースタッフなど、サービス分野の求人を見つけやすいでしょう。
主要な職種例
- レストラン・カフェスタッフ:接客やキッチン補助など
- ホテル・リゾートスタッフ:フロント、ハウスキーピング、イベント企画など
- ワイナリー関連:テイスティングルーム接客、ブドウ畑の作業、マーケティング
- 小売・販売員:ショッピングモールや街中の専門店
- ヘルスケア・教育分野:人口増加に伴う需要もあり
仕事探しの方法
- オンライン求人サイト(Indeedなど)
- ローカル紙やコミュニティ掲示板
- 直接応募:気になる店舗・ワイナリーへレジュメを持参
- 人脈紹介:日本人コミュニティや留学生同士のネットワーク
ただし、どの職業でも永住権に繋がるわけではありません。ケロウナでの永住権取得を視野に入れている場合、どういった職業が永住権取得に適しているか、移民コンサルタントに事前にご相談されることをお勧めします。それと同時に、長期的に雇用関係を築けそうな職場を見つけることも重要です。雇用主が移民プログラムへのサポートに協力的であれば、LMIA申請やPNP推薦などのチャンスが高まるかもしれません。
留学生向け:ケロウナのカレッジ・大学と進学メリット
1. Okanagan College
Okanagan Collegeは、ケロウナに本部キャンパスを置く公立カレッジです。ビジネス、観光、コンピューターサイエンス、ヘルスケア、ホスピタリティなど幅広いプログラムを提供しており、移民局が指定した特定の専攻分野を修了すると、ポストグラデュエートビザ(PGWP)が取得できます。
Okanagan Collegeのメリット
- 地域密着型の教育で、地元企業との繋がりを築くことができる
- キャンパスがコンパクトで、クラスサイズが比較的少人数
- 留学生サポートセンターやESLコースも充実
【出願の代行】
- Okanagan Collegeの出願は弊社でも代行が可能です。ご興味のある方は弊社までお問い合わせください。
2. UBC Okanaganキャンパス
カナダの名門大学であるUBC(University of British Columbia)には、バンクーバーキャンパスとオカナガンキャンパスがあります。Okanaganキャンパスはケロウナ市内に位置し、リベラルアーツ、サイエンス、エンジニアリング、ビジネスなど多彩な学部を展開。Bachelor(学士)からMaster(大学院)まで幅広い課程があるため、研究職や高度専門職を目指す学生にもおすすめです。
UBC Okanaganのメリット
- UBCブランドの強さ
- カナダ国内外での就職・進学において評価が高い
- 大学卒業後にPGWPを取得でき、カナダ国内で職歴を作ることが可能
3. 私立カレッジ(Sprott Shaw Collegeなど)
ケロウナにキャンパスを構える私立カレッジもあります。公立カレッジとは異なり、移民局が指定した専門分野を修了したとしても、PGWPは取得できません。
Sprott Shaw Collegeのメリット
- バンクーバーやビクトリアなど、BC州の様々なロケーションを持つ私立カレッジ
- 保育士、医療、ホスピタリティ、ビジネス系など幅広いプログラム
- 公立カレッジと比べると、入学条件が低く、入学時期にも柔軟性がある
【出願の代行】
- Sprott Shaw Collegeの出願は弊社でも代行が可能です。ご興味のある方は弊社までお問い合わせください。
ケロウナでの生活Q&A(家賃・食事・交通など)
Q1. 家賃相場はどれくらい?
部屋種類 | 家賃 |
---|---|
1ベッドルーム | 約1,300〜1,800CAD/月 |
2ベッドルーム | 約1,800〜2,500CAD/月 |
エリアや築年数によって大きく異なりますが、バンクーバーに比べるとやや安い傾向にあります。
Q2. 日本食は手に入る?
アジア食品店や日本食レストランがダウンタウンや周辺エリアにいくつか存在します。バンクーバーほどの選択肢はありませんが、基本的な日本食材の入手に困ることはありません。
Q3. 交通手段は?
- バス:市内交通はバスがメインです。路線網は整備されていますが、本数はやや少なめです。
- 車:自家用車を持つ人が多く、冬はスタッドレスタイヤが必須です。
- 自転車:夏場はサイクリングを楽しむ人も多く、自転車で通勤することも可能な場合もあります。
Q4. 日本人コミュニティはある?
大都市ほど大きくはありませんが、Facebookグループや日本人会など、小規模ながら温かいコミュニティがあります。情報交換や助け合いを行っており、初めてケロウナに来る人にとっては安心材料になるでしょう。
Q5. 病院や医療体制は?
- BC州にはMSPと呼ばれる無料の健康保険があり、留学生であっても加入することが可能です。カナダは歯や目の治療費が高額なため、就職先が決まった際にどんな福利厚生(extended healthなど)があるのか確認してみると良いかもしれません。
- カナダでは主治医(ファミリードクター)を見つけて治療を受けることが主流ですが、見つからない場合はウォークインクリニックでも対応してくれます。
ケロウナで永住権を取得した人の体験談
ワーキングホリデーからBCPNPで永住権を取得したMさんのケース
- カナダに来たきっかけ:オーストラリアでのワーホリ中に知り合った日本人のパートナーと「海外移住」を視野に入れました
- 苦労した点:英語試験のスコア取得やハードワークの両立
- 現在と今後:BC州ケロウナに定住しながら、これからは旅行やイベントを楽しみ「本当の意味でカナダを知りたい」
- これから目指す人へのメッセージ:受け身でなく自分から積極的に動けば状況は変わります
もっと詳しい内容を知りたい方はこちら:自分たちにできる方法を戦略的に実行し、ご夫婦二人で永住権取得されたM様
よくある質問(FAQ)
Q1. ケロウナは日本人にとって安全ですか?
治安は良好な部類ですが、自転車や車の盗難には注意が必要です。夜間の一人歩きは控えるなど、基本的な防犯意識を持って行動しましょう。
Q2. ケロウナで通用する職種は何ですか?
観光・ホスピタリティ関連の仕事が多く、飲食、ホテル、ワイナリーなどが代表例です。また、IT系やヘルスケア系、教育関連の仕事も一定の需要があります。
Q3. 留学なしで直接就労ビザから永住権取得は可能ですか?
可能な場合もありますが、LMIA取得などのハードルは高めです。留学で英語力やカレッジ卒業資格を得てから就労ビザへ進む方がスムーズな場合が多いです。
Q4. 冬の寒さは厳しいですか?
バンクーバーに比べると冬は寒く、-20度程度まで下がる日もあります。ただしアルバータ州のように-30~-40度まで下がることはありません。しっかり防寒して外出するようにしましょう。
Q5. カナダの他の地方都市との比較は?
ケロウナは自然の魅力と都市機能が程よく調和している点が最大の特徴。特にワイン文化が盛んで、アクティビティが充実しています。トロントやバンクーバーなどの大都市と違い、落ち着いた雰囲気があります。
ケロウナで「永住権」を目指すなら今すぐ準備を!
ここまでご紹介してきたように、ケロウナは大都市にはない魅力にあふれ、「英語環境」「自然豊かなライフスタイル」「比較的低い競争率」というメリットを享受できる場所です。
カナダの移民政策や永住権プログラムの要件は定期的に改訂されるため、最新情報の収集や信頼できるコンサルタントのサポートが重要です。英語力向上や職探し、コミュニティとの連携など、複数の準備を並行して進めるとスムーズです。カナダ政府公認コンサルタントが常駐する弊社では、学生ビザ・就労ビザの代理申請や学校選びもサポートしています。
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