パンデミック状況下におけるカナダの新移民受け入れ状況
今年2022年のカナダ移民政策が、引き続き新型コロナのパンデミックの影響を大きく受けることは間違いなさそうです。
これまでのパンデミック中、多くの渡航制限が課され、その度重なる変更による影響などで、カナダ移民局は膨大な量の申請のバックログ(未処理)を抱えることとなりました。また永住権審査においては、渡航制限に影響されないカナダ在住者の申請者が、国外在住申請者よりも優先して審査されるようになりました。
そのような混乱と変化を伴うパンデミック中においても、カナダの移民局は移民政策の三本柱である、「カナダ経済の強化」「家族の呼び寄せ」「人道的支援」を強力に推進してきました。
そして、カナダ政府の移民受け入れ数は増加し、審査も途絶えることなく継続されてきました。とはいえ、すでに3年目に突入するパンデミックが、今後もカナダの移民政策に影響を及ぼす主な課題となることは疑いの余地がありません。
これらを踏まえ、今年の移民政策がどうなるか予想してみましょう。
今年は2回発表が予定されている移民政策プラン Immigration Levels Plan
2022年には、カナダ政府から2回の移民政策プラン(Immigration Levels Plan)発表が予定されています。
移民政策プランでは、カナダ新移民となるターゲット層と、どのプログラムから新移民を受け入れるかの計画概要が記されます。現在遂行されている 移民政策プランは2021-2023年計画に基づくもので、新移民受け入れ数を2022年には411,000人、2023年には421,000人と計画されています。次の新しいプランが発表される際には、これが変更になる可能性もあります。
1回目は 発表が遅れていた、2022-2024年 移民政策プラン
まず、2月10日には、ショーン・フレイザー移民大臣による、2022-2024年移民受け入れ目標の発表が予定されています。 通常、移民政策プランは毎年秋に翌年から向こう3年間分の予定が発表されることになっています。2021年の発表は、9月にカナダの総選挙が実施されたため遅れていました。それが来月2月10日に発表となります。
2回目は 2023-2025年移民政策プラン
そして、来年以降3年間の2023-2025年移民政策プランは、今年2022年2回目となる発表として、再度総選挙などでもない限りは、例年どおりの11月1日に行われるはずです。
現在のカナダの深刻な労働人口不足、膨大な申請書類のバックログ、40,000人のアフガン難民受け入れ目標など、様々な要素を考慮して、今後発表される移民政策プランでは、移民受け入れ総数が増加する可能性があります。
エクスプレスエントリーについて
昨年2021年は、2015年にエクスプレスエントリーシステムが開始されて以来、最も例外的な年だったといえます。今年はさらに進展があると予想されます。
異例だった2021年のエクスプレスエントリー
2021年にエクスプレスエントリーでITA(Invitation to Apply)が送られたのは、CEC (Canadian Experience Class) と PNP (Provincial Nominee Program) の2つのカテゴリーのみでした。パンデミックの前は、FSW (Federal Skilled Worker) プログラムがエクスプレスエントリーでの永住権申請者の大多数を占めていたので、これは異例といえます。現在、エクスプレスエントリーに登録しITAを待っている人の85パーセントを、FSWプログラムカテゴリーで申請している人が占めています。
2021年 FSWの人たちにITAが発給されなかった理由
カナダ移民局が2021年にCECカテゴリーを優先してPR申請に招待した理由として、CECカテゴリーの申請者はすでに多くがカナダに在住し、ランディングの際にパンデミック渡航制限等の影響を受けにくいため、401,000人の2021年新移民受け入れ目標数を達成するためにはCECカテゴリー申請者にITAを発給するのが得策と考えたと説明しています。
FSWの方たちは、ほとんどがカナダ国外に居住していますので、2021年に渡航規制中のカナダへ渡航・ランディングすることが難しいとみて、昨年はFSWカテゴリーには一切招待が送られませんでした。各州の労働人口不足を補う目的で、PNPカテゴリーについては、CEC同様に優先的に招待されました。
次のFSWカテゴリー招待はいつ?
FSWプログラムカテゴリーの招待がいつ行われるのかは、誰にも予測が付きません。カナダ移民局(IRCC)も、このことについて特に触れていませんが、2021年9月のIRCCメモによると、FSWカテゴリー招待を再開するのは、エクスプレスエントリーでの永住権申請のバックログを半分以上減らし、通常のぺースの6ヶ月以内に エクスプレスエントリーの審査を終わらせることが可能となってからとのことです。
なお、このまま順調にいけば、2022年前半にはバックログを半分に減らせると期待されています。
エクスプレスエントリーの改革
カナダ政府は、エクスプレスエントリーの改革を行う予定であると示唆しています。2021年の政府予算発表時、移民大臣がカナダの労働市場に合った申請者をフレキシブルに招待できるようにする計画がありますが、詳細は発表されていません。
トルドー首相による、フレイザー移民大臣向けのマンデートレター内では、留学生と一時就労者向けのExpress Entryパスウェイを新設するよう求めています。
その他、今後の予想
- バックログ処理
新型コロナパンデミックにより、180万もの申請バックログが溜まってしまいました。トルドー首相はフレイザー大臣に、パンデミックに影響を受けた申請も含め、審査期間を短縮するよう依頼しました。
- NOCスキルレベルからTEERシステムへの変更
2022年の秋までに、カナダ移民局(IRCC)と労働省(ESDC)はカナダの職種をTEER (Traiing, Education, Experience, Reponsibilities)システムでカテゴリー分けするようになります。この変更で永住権申請者や一時就労ビザ申請者に影響が出る場合があるので、申請しようとしている方は注意が必要です。
- カナダ市民権申請の無料化
2019年に実現が期待されましたが、パンデミックにより優先事項が変更になってしまいできませんでした。カナダ市民権申請料の無料化を繰り返し進めるよう、トルドー首相が移民大臣へのマンデートレターで述べています。
- 信頼できる雇用主向けのシステム
カナダ政府は何年もの間、一時就労者プログラム(TFWP = Temporary Foreign Worker Program)において雇用主向けの信頼できるシステムを開始すべく協議を重ねてきました。フレイザー大臣へのマンデートレター内では、このシステムの着手が優先事項となっており、TFWPを通じてより早くカナダの労働不足を補えると期待されています。
- アフガン難民
2021年8月から、40,000人のアフガン難民受け入れがカナダ移民局の最優先事項となっています。
- PGP 2022(両親・祖父母呼び寄せ)
2022年度の両親・祖父母呼び寄せの為のファミリークラス申請についての詳細はまだ発表されていません。現在分かっていることは、このカテゴリーでの目標受け入れ数が23,500人ということです。
- 渡航規制
パンデミックにより、カナダの渡航規制は変化し続けています。直近での大きな変更は、2022年1月15日以降、カナダ国籍・永住者の家族、18歳以上の留学生、一時就労者も含めて、ワクチン接種完了済みでないとカナダに入国できなくなります。
ビザJPカナダでの対応
ビザJPカナダでは、2022年の移民局や政府、そして経済やその他の動向にも留意し、お客様にご案内をしています。移民コンサルティングの会社は、目の前にある申請書類をこなすことが仕事のすべてではないと考えています。
カナダ全体の動きをよく見て、政府の意向を先取りし、的確な予想をしつつ、お客様おひとりおひとりのご経歴やご希望と照らし合わせて、お客様と一緒に永住権取得までの計画を立てて行きたいと思っています。
そして、今後も随時皆さまへ移民局の動向や最新の情報をご提供していきます。過去記事も合わせ、ぜひ参考にしてください。
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