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各州ノミネーションプログラム(PNP)は1998年から2009年にかけて、ケベック州とユーコン州を除くすべての州で導入されました。その目的は、カナダの主要都市以外への移民の定住を促進し、各州・準州が必要とする労働力の補充に対応することでした。
そしてこのPNPの設計と運営の責任は、各州・準州の政府にあります。PNPには、それぞれの州でストリームと呼ばれるいくつかの申請枠を設定しています。その内容は州によって大きく異なりますが、ジョブオファーが必要なものが多く、留学生向け、ジョブオファーが無くても良いもの、起業家向けのものなど、いくつかの主な種類があります。
拡大するPNPでの移民受け入れ枠
カナダ移民局は毎年、新たなImmigration Levels Plan(移民受け入れ計画。)を発表し、これをもとに運営を行っています。2023年、カナダは新たに46万5,000人の永住者を迎えることを目標としており、この数字は2025年には50万人に引き上げられます。最新のImmigration Levels Plan 2023-2025(移民受け入れ計画)でのPNPによる永住者の目標は、国(Federal Government)のメインのプログラムであるExpress Entryを上回ります。移民局は、2025年にはPNPを通じて11万7500人の永住者を迎えることを目標としています。
カナダ全土における移民の分布
都市部集中からカナダ全土に分散が進む
近年のカナダ統計局の調査で、職歴や学歴を使って永住権を取得した移民の分散化が、PNPの成長と同時に起こっていることがわかりました。PNPが成長するにつれて、カナダでは移民の分布が集中化しなくなりました。新移民の州別分布は、PNPで永住権を取得した人がほとんどいなかった2000年から、そのあと2019年にかけて大きく変化しました。
特にオンタリオ州(主にトロント)に定住する移民の割合は、この期間に61%から42%に減少しました。ブリティッシュコロンビア州にのシェアも17%から15%へとわずかに減少しました。
マニトバ州とサスカチュワン州への移民の割合は、ほぼゼロから7%前後に増加しました。アルバータ州も、1%から7%に上昇しました。
州からの推薦者(ノミニー)の特徴の変化
PNPが発展するにつれて、このPNPプログラムを通じて州から永住権申請者にノミネートされるノミニーに選ばれる人々の特徴も大きく変化してきました。
最も大きな変化は、永住権取得前からすでにカナダで働き収入を得ていた人、つまり基本的に就労ビザ保持者の中から選定する傾向が強まったことです。20歳から54歳のノミニーのうち、就労ビザ保持者の割合は、2002年の6%から2019年には61%、さらに2021年には72%に上昇しました。
調査によると、就労ビザ保持者であった移民は、カナダでの就労経験のない移民と比較して、短期的にも長期的にも労働市場での成果が良好でした。
また、移民前にカナダでの就学経験を持つ移民の数も大幅に増加しました。2019年には、PNPで永住権を取得した移民の38%がカナダでの就学経験があり、2010年の7%から増加しました。
もう一つの重要な特徴は年齢です。移民時の年齢が20歳から29歳の割合は、2005年の24%から2019年には38%に増加しています。調査によると、若い移民の方が、特に長期的には、高齢の移民よりも経済的な成果が高い傾向にあります。そして20代のノミニーの割合が増加するにつれ、配偶者や扶養家族を持たない申請者の割合も増加しています。
ノミニーの公用語能力もまた、大きく変化しています。2005年には、ノミニーの5分の1が英語もフランス語もできませんでした。2019年には、永住権取得時に英語もフランス語もできないノミニーの数はほぼゼロになりました。おそらく、ほとんどのPNPプログラムがノミニーに英語かフランス語の一定レベルの能力を義務付けているためだと思われます。
カナダ全土で、英語またはフランス語以外の言語を母語とするが、英語またはフランス語も話す人の割合は、2005年から2019年にかけて64%から91%に増加しました。
移民の出身国にも変化が見られます。従来、学歴や職歴を使って永住権を取得した移民は、幅広く世界各国からカナダに来ていましたが、これは変化しつつあります。2019年には、ノミニーの70%がアジアの3つの地域(南アジア、東アジア、東南アジア)の出身です。
今後の展望
PNP発足以来、移民の大幅な地方分権化が達成されました。ノミニーの特徴も大きく変化し、その大部分がカナダの経済的成果を向上させる傾向にあります。
PNPは、カナダの各地域で直面する人口動態や労働市場の課題によりよく対応することができ、移民の地域分散化の傾向をさらに加速させる可能性があります。
各州のノミニーの数、定住パターン、特性は年々変化し、今後も、カナダ全土の労働力強化と人口動態に良い影響を与えていくでしょう。
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