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飲酒運転または薬物の影響下での運転を、DUI(Driving Under the Influence of alcohol and/or drugs)と呼び、カナダでは、このDUIが他国で扱われる以上に重罪に該当します。そして、DUIで有罪判決を受けたことがあると、通常はカナダへ入国できない、とされています。
カナダ国外でのDUI犯罪歴のある人も、事前に対処することによって入国可能となる方法がありますが、カナダへの目的が観光、就学、就労、移民のいずれであっても、カナダへ渡航する前に、その入国拒否の原因となる問題に対処しておく必要があります。
この記事では、DUI逮捕歴があってもカナダへ入国できる場合についてをお話します。
カナダにおけるDUI犯罪の扱い
過去にカナダ国外で犯した罪の量刑は、カナダの犯罪法に置き換えて判断されるのが前提となります。
2018年、カナダ政府はマリファナ(大麻)を合法化するのと同時に、飲酒、薬物がもたらす酩酊状態での運転の取り締まるDUI規制を厳しく強化しました。そしてDUIの犯罪は、それまで最長5年の収監の実刑判決だったものから、2018年12月18日以降、最長10年に引き上げられました。
ハイブリッド犯罪 …「略式起訴犯罪」か「正式起訴犯罪」か
カナダではDUIは「ハイブリッド犯罪」に該当します。「ハイブリッド犯罪」とは、略式起訴犯罪か正式起訴犯罪のどちらかをカナダ政府が選択できるということで、後者に該当するとより重罪と見なされたことになります。
そして、カナダの移民法では、ハイブリッド犯罪は略式起訴犯罪にはならず、正式起訴が可能な犯罪として扱われます。このため、カナダ国外における2018年12月以降のDUI逮捕歴は、起訴可能な犯罪として扱われ、カナダでは重罪を犯した者として永久に入国拒否の対象となります。
DUIでの逮捕歴があってもカナダへ入国許可される方法
TRP(特別一時滞在許可証)の取得
入国を許可されない方でも、やむを得ずカナダへ渡航しなければならない事情がある場合、TRP (Temporary Resident Permit:特別一時滞在許可証) にて入国できるかもしれません。やむを得ない事情とは、仕事やビジネス会議への出席、重要な家族のイベント(結婚や葬儀など)が例として挙げられます。
TRPは通常、カナダの滞在期間と同じ期間にて許可されます。TRPの期限でカナダを出国しなければならず、延長が必要な場合は期限前に新たなTRPを申請しなければなりません。
TRPは申請すれば必ず取得できるわけではなく、カナダ移民局の審査官が、入国の理由とカナダの社会へ与えるリスクの両方を考慮して、問題ないと判断した場合のみ許可されます。そして、審査官はTRP発行後であってもそれをキャンセルする権限があります。また、TRP期限内に一旦カナダを出国すると、特別許可を取っていない限り、そのTRPは無効となります。
飲酒運転などで重い罪に問われた人がカナダへ入国するには、TRPが必要です。ただし、TRPはあくまで一時的な解決法に過ぎません。
Criminal Rehabilitation(犯罪更生)の適用
刑期を終えてからの経過期間が5年以上10年未満の場合、Criminal Rehabilitation 申請ができます。申請が許可されると、過去の犯罪は白紙の状態となり、新たに罪を犯さない限り、過去の犯罪歴で引っ掛かることなくカナダの出入国が自由にできるようになります。
DUIで有罪となり、その刑期を終えて10年以上経つ場合、deemed rehablitated(更生済み)とみなされることができます。ただし、その犯罪歴が1回のみであり、罪状が悪質ではない場合に限ります。もし2回以上の有罪判決を受けている場合、カナダ入国を可能にするには、Criminal Rehabilitation の申請が必要となります。
また、現在DUIはカナダでは重罪とみなされているため、たとえ刑期終了から10年以上経過しても、それで自動的にdeemed rehablitated(更生済み)の罪歴とみなされるわけではありません。2018年12月以前に、deemed rehablitated(更生済み)とみなされていた場合は、そのままカナダに入国許可される可能性はあります。ですがいずれにしても、DUI歴のある人はカナダへ渡航する前に弁護士に相談することをお勧めします。
Legal Opinion Letter(法律意見書)の取得
DUIで逮捕されても、現在まだ起訴されている最中で有罪確定されていない人は、その他の犯罪歴がなければ、必ずしもカナダへ入国できないとは限りません。そのような人がカナダに入国できるかどうかは、カナダ移民局の審査官が、その人をカナダに入国させるメリットとリスクを天秤にかけて、審査官自身の裁量で判断しています。そして、その判断には、日本など罪を犯した国の法律ではなく、カナダの法律が適用されます。
起訴中で判決が出ていない方でカナダへの入国を考えるのであれば、カナダの移民弁護士からリーガルオピニオンレター(法律意見書)を取得することが賢明です。意見書では、起訴中の事案に関する事実と、それらがカナダ入国拒否に値しない理由などをまとめて記述してもらうことが可能です。
まずはご相談ください
DUI歴に限らずですが、犯罪歴のある方がカナダに入国しようとする場合は、まずは弁護士に相談していただくことになる場合が多いです。ビザJPカナダでは、犯罪法と移民法の両方を扱う弁護士をご紹介できます。まずは弊社へお問合せください。
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