2017年9月15日から、BC州の最低賃金が50セント上がり、$11.35になることが先週各メディアで報道されました。
また、NDP(新民主党)の公約にもあった、2021年までに最低賃金を$15まで引き上げるという計画も、引き続き進めるとのことです。
貧困層の救済が目的の最低賃金引き上げの措置ですが、さまざまな立場の人たちが違った意見を持っているので、「単純にお給料が上がって嬉しい」というお話ではなさそうです。色々な意見のうちのいくつかをご紹介しますね。
物価を考えるとBC州の最低賃金引き上げは遅すぎる!
この最低賃金引き上げにより、BC州はカナダで三番目に最低賃金の高い州になります。それでも、カナダ一、住宅や土地の値段が高いバンクーバーという都市を抱える州であるだけに、この措置や、最低賃金を$15にする目標の時期が2021年という先の話であることに、もどかしさを示す人も多く居ます。
大きな都市を持つ他のAB州(2018年10月までに)や、ON州(2019年1月までに)がもっと早い時期に最低賃金を$15に設定することを考えると、BC州の計画がいかにのんびりしてしまっているかがわかりますね。
小規模のビジネスには大打撃!
規模が小さく、低資金で経営しているビジネスは、少しのコスト増でも経営を大きく揺るがされることもあります。特に、BC州は飲食業が盛んで、多くの個人経営のお店が存在しています。ただでさえ高いお店の家賃に加え、人件費という更なる固定経費の増加は、お店の経営者を悩ませることになるでしょう。
美味しい食べ物や飲み物を提供して私たちの生活を豊かにしてくれるお気に入りのお店、みなさんにも一つや二つはあるのではないでしょうか。そんなお店ももしかしたら、人件費が増えたことで、他の何かを妥協してやりくりしないといけなくなるかもしれない…そんなことも、今回の最低賃金引き上げの影響として考えられることの一つです。
むしろ職に就けない人が増える可能性も!
2.でご紹介したとおり、多くの飲食店をはじめ、最低賃金で働いている人たちで回っている小規模のビジネスやお店では、人件費に避ける予算が限られています。そこで最低賃金が引き上げられるとなると、そもそも雇う人数を減らす・制限するしかないところも出てくるということが、懸念されています。一生懸命働いている人の収入が増えるのは喜ばしいことですが、そもそも仕事に就けない人が増える可能性があるということも意味しています。
また、失業率が上がると、ビザの審査が厳しくなったり、外国人の雇用市場が冷え切ったりと、日本から来ていて、カナダに長くいたい人にとって、喜ばしくない影響もありそうです。
決して暗いニュースではないはずなのですが、賃金を上げればみんなの生活が良くなるという訳でない、というのが難しいところですね。政府には、この賃上げによる色々な影響を注視してもらって、カナダ人も永住者も外国人も、雇用主も従業員も、バランスよく生活が向上する方策を進めてもらいたいなと思います。
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