カナダ移民局(IRCC)は、香港人を対象とした特別永住権プログラム「Hong Kong Permanent Residence Pathways」について、予定どおり2026年8月31日をもって新規申請の受付を終了しました。
このプログラムは2021年に導入された期間限定の特別措置で、カナダでの就学歴または就労経験など一定の条件を満たす香港人に、永住権申請への特別なルートを提供してきました。
今回の終了によって、9月1日以降、このプログラムを利用した新規の永住権申請はできなくなりました。一方、2026年8月31日までに受理された申請については、引き続き審査されます。
Hong Kong Pathwaysの2つの永住権申請ルート(Stream A・B)が終了
Hong Kong Permanent Residence Pathwaysには、永住権申請のルートとして次の2つのStreamが設けられていました。
| Stream | 対象者 |
|---|---|
| Stream A:In-Canada graduates | 一定の条件を満たすカナダのPost-secondary Institutionを卒業した人 |
| Stream B:Canadian work experience | カナダ国内で、申請前3年間に少なくとも1年間の対象となる就労経験を積んだ人 |
Stream Bについては、2023年の制度変更によって従来の学歴要件が撤廃され、対象者が拡大されていました。
いずれのStreamも、2026年8月31日をもって新規申請受付を終了しています。
約4万8,560人が申請、約13,370人が永住権を取得
移民局によると、2026年6月30日時点で、この特別措置を利用して提出された永住権申請は約30,315件で、申請者とその家族を合わせると約48,560人に上ります。
そのうち8,600件以上、人数にして13,485人の申請が承認され、約13,370人がすでにカナダの永住権を取得しています。
2021年の制度開始以来、多くの香港人に利用されてきたことが分かります。
問題は、申請済みのケースの「長い待ち時間」:受入枠の上限で審査が10年以上に
今回特に注意したいのは、8月31日までに申請すれば短期間で永住権が取得できる、という状況ではないことです。現在、このカテゴリーでは非常に大きなBacklog(申請残)が発生しています。
移民局が公表している審査期間(Processing Times)では、このカテゴリーの待ち時間が10年以上に及ぶケースも想定される状況となっています。
この背景には、単純に移民局の審査スピードが遅いという問題だけではなく、カナダ政府がImmigration Levels Plan(移民受入計画)の中で設定している年間の永住者受入枠があります。Hong Kong Pathwaysは、UkraineやSudanなどへの特別措置とともに「Other」カテゴリーの受入枠に含まれています。
| 年 | 「Other」カテゴリーの受入予定数 |
|---|---|
| 2026年 | 5,800人 |
| 2027年 | 4,000人 |
| 2028年 | 4,000人 |
つまり、審査を進める人員がいたとしても、年間に永住権を付与できる人数自体に限りがあるため、大量の申請が残っている状況では待ち時間が長期化します。
移民局も、申請数が利用可能な受入枠を上回っていることから、長い審査期間が今後も続く可能性があると説明しています。
申請済みでも、別の永住権ルートを検討することが可能
Hong Kong Pathwaysで永住権を申請済みだからといって、必ずその申請結果が出るまで待ち続けなければならないわけではありません。
条件を満たすのであれば、エクスプレスエントリー、各州ノミネーションプログラム、ファミリークラスなど、別の永住権プログラムを並行して検討・申請することも可能です。複数の永住権申請を同時に進めること自体は可能ですが、最終的に永住権を取得するのは一つの申請からとなります。
そのため、Hong Kong Pathwaysですでに申請している方でも、現在の学歴、カナダでの職歴、英語・フランス語能力、年齢、居住州、家族関係などによって別の永住権ルートを利用できるのであれば、長期間ただ待つのではなく、別の選択肢を検討する価値があります。
審査中のオープンワークパーミット制度は2029年5月まで継続
永住権審査が長期化していることを受け、カナダ政府はHong Kong Pathwaysで永住権を申請した一定の方を対象に、審査期間中もカナダで滞在・就労を続けられるオープンワークパーミットの特別措置を設けています。この制度は2024年5月27日に開始され、2029年5月まで継続される予定です。
対象となる方は、最大3年間のオープンワークパーミットを申請できる可能性があります。したがって、Hong Kong Permanent Residence Pathwaysそのものの新規受付は終了しましたが、すでに同Pathwaysで永住権を申請している方を対象としたオープンワークパーミットまで8月31日で終了したわけではありません。
白石ビザJPカナダからのコメント
Hong Kong Permanent Residence Pathwaysはもともと期間限定の特別施策として導入されており、2026年8月31日の終了自体は以前から予定されていました。今回、すでに申請している方にとってより重要なのは、「プログラムが終了したかどうか」よりも、現在の非常に長い審査期間をどう考えるかだと思います。
Hong Kong Pathwaysで申請済みであれば、その申請は引き続き審査されます。また、条件を満たす方についてはオープンワークパーミットの特別措置も2029年5月まで継続される予定です。
しかし、移民局の現在の未処理件数と年間の永住者受入枠を考えると、Hong Kong Pathwaysだけに頼って長期間待つことが、すべての方にとって最善とは限りません。
カナダで就労経験を積んでいる方であればエクスプレスエントリーや各州ノミネーションプログラム、家族関係によってはファミリークラスなど、別の永住権取得方法が利用できる可能性もあります。
特に、Hong Kong Pathwaysを申請した当時と比べて職歴や語学力が増えている方、居住州や雇用状況が変わっている方については、現在の状況をもとに、より早く永住権につながる別のルートがないかを改めて確認してみることをおすすめします。
すでに申請している永住権を維持しながら、利用可能な別の選択肢を検討することも可能ですので、長期化する審査をただ待つのではなく、現在利用できる永住権プログラムを定期的に見直していくことが重要です。
このニュースはカナダ政府の公式情報を元に白石ビザJPカナダが内容を整理し、わかりやすくまとめたものです。
出典:Hong Kong permanent residence pathways closing to new applications(英語)
移民コンサルタント
白石 有紀 (Yuki Shiraishi)
アメリカミシガン大学にて学士取得後、ニューヨークでマーケティングコンサルタントとして働く傍らニューヨーク市立大学MBAコースに就学。その後日本での旅行会社マネージャー経験を経て、カナダでのイミグレーションの仕事へ。2010年から移民コンサルタントとして活躍。白石ビザJPカナダ代表。
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