目次
カナダとオーストラリアは、留学先や移住先として日本人から人気を集める国です。2024年には、両国の移民政策に大きな変化があり、これから海外移住を目指す方々の選択肢にも大きな影響を与えています。本記事では、2024年11月にCIC NEWSで報じられた情報を参考に、両国の留学生に対する移民政策や生活環境の違いをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
【注意点】
- この記事のオーストラリアのビザ・永住権に関する情報は、2024年11月21日に公開されたCIC NEWSを参考に記載しています。オーストラリアのビザ・永住権に関して知りたい方は、オーストラリアのビザ・移民法に詳しいオーストラリア政府公認の移民コンサルタントに直接ご相談ください。
カナダとオーストラリアの留学生に関する移民政策の違い
両国の移民政策には大きな変更があったとはいえ、カナダとオーストラリアは今なお留学生を引きつける魅力的な国です。例えば、質の高い教育や多様性に溢れた環境、そして就学後の永住権への道など、多くの留学生が魅力を感じています。
カナダ | オーストラリア | |
---|---|---|
永住権への道 | 永住権申請に有利な職種もあるが、幅広い職種での永住権取得が可能。 | スキルドインディペンデントビザからの永住権取得には、申請者の職業が指定されたスキルド職種のリスト(Skilled Occupation List)に入っているか否かに大きく左右されます。 |
永住権に繋がる国内での職歴 | ・カナディアンエクスペリエンスクラス(CEC) ・カナダでの職歴があるスキルドワーカーのための、エクスプレスエントリーのプログラム | 該当するプログラムなし |
文部科学省が2024年5月に発表した「『外国人留学生在籍状況調査』及び『日本人の海外留学者数』について」によれば、留学期間が3か月以上の中長期の日本人留学者は、アメリカ合衆国が11,880人、カナダが6,735人、オーストラリアが6,187人でした。カナダとオーストラリアはいずれも日本人の留学先として継続的な人気を誇っています。
また、学生ビザや卒業後の就労資格において、下記のような違いが見受けられます。
カナダ | オーストラリア | |
---|---|---|
QS World University Rankings 2025 Top 100に入る大学数 | 4校(トロント大学・マギル大学・ブリティッシュコロンビア大学・アルバータ大学) | 9校(メルボルン大学・シドニー大学・ニューサウスウェールズ大学・オーストラリア国立大学など) |
学費 | CAD$29,000~CAD$81,000 | AUD$26,500~AUD$113,000 (CAD$24,509~CAD$104,511) |
学生ビザ申請料 | CAD$150 | AUD$1,600 (CAD$1,465) |
学生ビザのプロセス期間 | 約3ヶ月 | 約61日 |
学校に行っている間、留学生が就労できる時間 | ・週24時間のオフキャンパスでの就労が可能 ・オンキャンパスや決められた休み期間中の就労は無制限 | ・2週間毎に48時間までの就労が可能 ・決められた休み期間中の就労は無制限 ・オンキャンパスとオフキャンパスの就労に違いはなし |
留学生の一般的な永住権への道 | ・カナディアンエクスペリエンスクラス(CEC) ・州ノミネーションプログラム(PNP) | ・スキルドインディペンデントビザ ・スキルドワークリージョナルビザ |
永住権申請可能な職業 | ・エクスプレスエントリー:すべてのスキルド職種 ・州ノミネーションプログラム:州によりさまざまだが、一般的にはすべてのスキルド職種といくつかのローワースキルド職種 | ・スキルドインディペンデントビザ:指定されたスキルド職種のリストに入っている職業のみ ・スキルドワークリージョナルビザ:スキルド職種のリストに入っている職業のみ |
学生ビザ申請条件に違いはあるのか
学生ビザの申請条件にも、カナダとオーストラリアでは違いがあります。カナダでは学生ビザ申請時に「Provincial Attestation Letter(PAL)」という州政府発行の書類が必要になります。またCIC NEWSによると、カナダの学生ビザの方が費用が安く、資金証明額もオーストラリアより低い傾向にあります。
一方、オーストラリアでは「Genuine student requirement」と呼ばれる質問リストに答え、留学の誠実な意図があるかどうかを証明する必要があります。さらに、留学生用の健康保険「Overseas Student Health Cover」への加入も義務付けられています。ただし、入学時に求められる語学力の基準はカナダより低めに設定されています。
就学中の就労時間について
留学生が現地でアルバイトをする際にも、カナダとオーストラリアではルールが異なります。カナダでは週24時間のオフキャンパス(学外での就労)での就労が可能で、オンキャンパス(学内での就労)や決められた休み期間中の就労は無制限です。一方、CIC NEWSによると、オーストラリアでは「2週間毎に48時間まで」の就労が可能で、休暇期間中の就労は無制限、オンキャンパス・オフキャンパスに区別はないとされています。また、修士・博士の研究ベースのプログラムに就学している場合、就労時間の制限はありません。
学校卒業後の就労ビザについて
両国とも、留学生が卒業後に現地で働けるビザの仕組みを設けています。ただし、取得条件や就労可能期間にはそれぞれ特徴があります。
カナダ | オーストラリア | |
---|---|---|
卒業後の就労のオプション | ポストグラデュエート就労ビザ(PGWP) | ポストハイヤーエデュケーションワークストリーム |
労可能な期間 | 最長3年間 | たいてい2~3年 |
申請条件 | ・指定された教育機関(DLI)で8カ月以上のフルタイムのプログラムを修了していること ・学士、修士、博士のプログラムを修了している、または指定された需要の高い職種でのカレッジ、大学の職業訓練校のプログラムを修了していること ・大学以上の卒業生は語学力がCLB7以上、カレッジ卒業生はCLB5以上の英語力があること ・学校を修了してから180日以内に申請していること ・就学時にフルタイムで就学していたこと(150日の休学期間、最後のタームのパートタイムでの就学を除く) | ・申請時に35歳以下であること(例外あり) ・申請時にオーストラリア国内にいること ・有効なビザを保持していること ・有効な学生ビザを過去6か月に保持していたこと ・CRICOSに登録されているコースで、直近の資格を持っていること ・適切な健康保険、警察証明書、英語力の証明を提出できること |
カナダでは年齢制限がない一方で、カレッジ・職業訓練校卒業生向けの就労資格が「需要の高い職業を修了していること」に限られる場合があります。一方、オーストラリアは35歳以下という年齢制限があるものの、カレッジプログラムが需要の高い職種に限定されることはありません。
留学生受け入れに関する新たな発表
カナダとオーストラリアには、留学生の数への制限が設けられています。オーストラリア政府は2024年8月にナショナルプランニングレベル(NPL)を発表し、2025年1月から留学生対象プログラムの増加を制限すると明言しました。これにより、2025年の留学生受け入れ人数は270,000人になると予想されています。
一方、カナダ政府は2024年11月に発表した移民受け入れ政策において、2025年度の留学生の受け入れ人数を305,900人と設定しました。両国とも留学生数を制限する動きがあるため、海外移住を考える方にとっては少し難易度が上がったように感じるかもしれません。
しかしCIC NEWSでは、留学生の減少により、学習機会やキャンパス寮の空きが増えたり、就職活動の競争率が下がる可能性など、留学生側にも潜在的なメリットがあると報じています。
留学生に開かれている永住権への道
オーストラリアではスキルドインディペンデントビザを申請する際、45歳以下という年齢制限があります。さらに、Skilled Occupation List(SOL)に指定されている職種でないと永住権申請が難しい場合が多く、その他の職種の場合は州や準州の推薦、あるいはファミリージョイニングなどを検討する必要があります。
一方、カナダには年齢制限がなく、カナダ国内での学歴や就労経験が永住権申請に大きく役立ちます。特に、カナダ政府主導のカナディアンエクスペリエンスクラス(CEC)での永住権申請が最も一般的な方法とされています。スキルの低い職種(NOC TEER 4・5)はエクスプレスエントリーの対象外ですが、州ノミネーションプログラムによっては申請が可能な場合もあります。
カナダのエクスプレスエントリー対象となるスキルド職種は、National Occupation Classification(通称NOC)のTEER0~3に指定されている必要があります。
カナダとオーストラリアの生活費の違い
CIC NEWSによれば、両国の主要都市における2ベッドルームアパートの家賃中央値は、カナダのほうがやや高い傾向にある一方、食料品価格や公共交通機関の費用はオーストラリアよりカナダのほうが安い事例が多いようです。
都市 | 2ベッドルームの中央値 |
---|---|
モントリオール(カナダ) | 1,890 CAD |
トロント(カナダ) | 2,500 CAD |
バンクーバー(カナダ) | 2,829 CAD |
メルボルン(オーストラリア) | 2,200 AUD (2,016 CAD) |
シドニー(オーストラリア) | 2,880 AUD (2,639 CAD) |
キャンベラ(オーストラリア) | 2,240 AUD (2,052 CAD) |
さらに、食料品価格はカナダのほうが6.9%ほど安く、月の食費は約CAD$248~CAD$330程度、オーストラリアではAUD$430(約CAD$393)と報じられています。公共交通費もカナダのほうが比較的安価であり、バンクーバーがCAD$3.20であるのに対し、シドニーはAUD$5.00(約CAD$4.56)となっています。
まとめ
2024年に発表された移民政策を見ると、どちらの国にも大きな変化がありました。カナダもオーストラリアも留学生や移民の受け入れ人数を制限する傾向にあります。そのため、海外移住が難しくなっている印象を受ける方も多いかと思います。しかし、留学生数の減少は、個に寄り添った学習機会の提供やキャンパス内の寮へのアクセスの向上、職探しの競争率の低下など、留学生にとっても潜在的な利益に繋がるのではないかとCIC NEWSは伝えています。
また、カナダの場合は国内での学歴や就労経験が永住権申請の大きなアドバンテージとなります。2025年の永住権全体の受け入れ目標は約20%削減されるものの、カナディアンエクスペリエンス(CEC)を含むエクスプレスエントリーに割り当てられる枠は増加する予定です。つまり、現在カナダに滞在している留学生や就労者(外国人)にとっては、有利な状況が続く可能性があります。
カナダとオーストラリア、どちらを留学先や移住先に選ぶのかは、生活費や住みやすさだけでなく、移民政策や永住権の道筋なども考慮して検討することが大切です。最新の移民政策情報や留学生向けビザのサポートを通じて、皆様の留学・移住を全力でお手伝いいたします。ぜひ弊社までご相談ください。
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