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2025年上半期、カナダ移民局は永住権、一時滞在ビザ、留学・就労制度に関して複数の重要な制度改正を実施しました。カナダでの永住を目指す方はもちろん、就労ビザや留学を検討されている方にとっても、知っておくべき内容がたくさんあります。
そこで、このコラムでは、、2025年前半にカナダ移民局が発表した最新の移民政策をカナダ政府公認移民コンサルタントの白石の視点から分野別にわかりやすく解説します。
永住者・一時滞在者の受け入れ上限を導入
今後の永住権の選考(申請条件・審査など)では「カナダ政府が必要とする質の高い人材」を重視する傾向がより強まると考えられます。
まず、永住者の年間受け入れ枠が引き下げられ、同時に一時滞在者(就労ビザ・学生ビザなど)にも初めて上限が設定されました。
2025年の永住者・一時滞在者の受け入れ
- 永住権の受け入れ上限:約39万5,000人(前年比で約9万人減)
- 一時滞在者の上限:67万人弱(2024年比で約21%減)
- 政府は「一時滞在から永住への移行」を重視し、長期定住を前提とした制度設計へ
今後のビザ審査では、「カナダ社会に中長期で貢献できる人材かどうか」が、より重視されると予想されます。
エクスプレスエントリー:ジョブオファー加点の廃止と優遇職種の見直し
永住申請の主要ルートであるエクスプレスエントリーにも、2025年前半に大きな変更がありました。
特にジョブオファーによるポイント加算の廃止と、カテゴリー別選考(Category-Based Draw)の職種見直しが注目されています。
エクスプレスエントリーの変更内容
- 2025年3月:ジョブオファーによる追加ポイント(最大50点または200点)が廃止
- 優先カテゴリー(Category-Based Draw)に新たに教育系職種が追加
- 優先職種リストの見直し
- 多くのIT職種が削除
- 福祉関連職種、保険ブローカー、料理人(クック)などが新たに追加
今後は、カナダ国内の労働市場に即した「職種別・分野別」選考が強化されていく見通しです。
地域・分野に特化した永住ルートの新設
2025年は以下のようなパイロットプログラムが新設または再構成されました。
新設・再構成された主なパイロット制度
- ルーラル地域パイロットプログラム
地方都市への定住促進を目的とした新制度 - フランス語コミュニティパイロット
ケベック州以外のフランス語話者コミュニティ強化 - ホームケアワーカーパイロット(育児・介護分野)
申請開始から数時間で定員に達するなど、高い関心を集めています
各州ノミネーションプログラム(PNP)に大きな影響
各州ノミネーションプログラム(Provincial Nominee Program)の申請枠数は2024年から全体的に削減され、州によっては一部カテゴリーの一時停止や、要件の引き上げが、申請方法の変更などが行われています。
各州のPNPの主な動き
- 全体の割り当て枠が約半減
- ブリティッシュコロンビア州の新規申請の受付がほぼ停止
- オンタリオ州・アルバータ州では職種指定やスコア要件の頻繁な変更が発生
学生ビザの制度変更と制限強化
留学制度についても、2025年は厳格化の年となりました。特にビザ発給数の制限と、転校時の新ルールは多くの留学生に影響を与えています。
学生ビザ発給数に上限
- 学生ビザの処理件数上限:約55万件(2025年1月〜12月)
- 発給数は43万7,000件(前年比で10%減)
- 上限に達した場合、それ以降の申請は審査されず、申請料も返却。
転校には新たな学生ビザが必要に
2025年5月1日以降、学校を変更する留学生は新たな学生ビザ(Study Permit)の取得が必須になりました。
それ以前はオンラインアカウントでの更新通知のみで転校が可能でした。
PAL(Provincial Attestation Letter)の要件変更
2025年1月24日以降、大学院(修士・博士課程)の留学生にもPAL(Provincial Attestation Letter)の提出が必須になりました。一方で交換留学生はPALが不要になりました。
各州に割り当てられたPAL発行枠を基に、学生ビザの申請上限が管理されています。
就労ビザ・オープンワークパーミットの制度見直し
各種就労ビザの申請条件にも変更が加えられました。
ポストグラデュエートビザ(PGWP)
- 2025年3月:カレッジの学士課程修了者もPGWP取得対象に
- 2025年6月予定だった対象分野の見直しが、2026年初旬施行開始に延期
・119分野を新たに追加
・178分野を削除
PGWP対象分野の確認はこちら(カナダ移民局公式)で確認してください。
配偶者就労ビザ(SOWP)
- 学生の配偶者が配偶者就労ビザを取得できるのは、学生の就学プログラムが以下のいずれかの場合のみになります
・博士課程(PhD)
・16ヶ月以上の修士課程(Master)
・医療、工学、法学など大学での専門職課程(Bachelor) - 外国人労働者の配偶者が対象となるのは以下の場合のみになります
・TEER 0または1の職種
・TEER 2または3の一部の職種
・主滞在者(就労ビザ保持者)に16ヶ月以上の就労ビザ残存期間が必要
LMIA就労ビザのLow WageStreamは引き続き制限対象に
2024年9月に導入された「都市別失業率に応じたLMIA申請制限」は、2025年も継続されています。失業率が6%を超える地域では、Low Wage StreamでのLMIA取得ができない状況が続いています。
日本国籍者に朗報!ワーホリが2回可能に!
2025年4月から、日本国籍者はカナダのワーキングホリデービザを最大2回(各12ヶ月)取得できるようになりました。これによりカナダでの就労・生活機会が広がりました。
政権交代による移民政策の転換にも注目
2025年3月、マーク・カーニー氏が新首相に就任したことで、移民政策全体の方向性にも変化が見られます。受け入れ数の抑制と一時滞在からの永住へのルート整理を重視する傾向が見られます。

今後のカナダ移民政策と準備のポイント
2025年のカナダ移民政策は、「量から質へ」の転換が顕著です。選考基準の厳格化と、地域・産業ごとの人材ニーズに応じた受け入れ強化が進んでいます。短期的な人口増を抑えながら、地域・分野別のニーズに応える「持続可能な制度」へと進化しつつあります。今後の移民戦略において重要なのは、以下の3点です。
- 受け入れ枠の制限により、「早めの申請」と「正確な条件理解」がますます重要に
- 就学・就労・配偶者ビザの条件厳格化に対応した計画性
- 地域・分野特化の永住ルートをうまく活用し、長期滞在や永住につなげる柔軟な戦略
政策は今後も段階的に更新される見通しです。確かな情報源に基づき、都度のアップデートに注意しながら準備を進めましょう。カナダ移住を検討中の方は、早めの準備と最新情報のチェックがますます重要です。
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