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こちらの記事は、ビザJPカナダのお客様ではないですが、就労ビザ申請がIELTSスコアが低かったことを理由に却下されてしまったという事例です。これが何を意味しているか、またビザJPカナダではそのようなことがないように日頃どのような対応をしているかをご紹介します。

裁判に至る背景

イラン国籍の女性は自国で7年間、住宅設計とリフォームのマネージャーをしていました。2022年、彼女はバンクーバーにある建設会社で住宅建設業者として働く雇用契約を結びました。仕事の内容と責任は、作業スケジュールの計画と作成、下請け業者の選定と雇用、予算の管理などでした。

まずこの建設会社が、就労ビザ申請の前に必要とされるLabour Market Impact Assessment（LMIA）を労働省に申請しました。その審査に通ってポジティブLMIAレターを受け取り、ブリティッシュ・コロンビア州で一時的に外国人労働者を雇用して良いと許可されました。そのポジティブLMIAレターを使って、彼女はイランから就労ビザを申請しました。その時、申請書と一緒に提出する補足書類のひとつとして、彼女はスコアが5.0のIELTS語学テストの結果を提出しました。

彼女の審査を担当したカナダ移民局の担当官は、語学力を理由に就労ビザ申請を却下しました。彼女はこの決定を不服とし、移民局を相手に裁判を起こしました。

裁判結果

裁判で彼女は、就労ビザの申請には特定の「言語要件」はないと主張しました。さらに、担当審査官は、なぜ彼女がカナダの雇用主が求める仕事を遂行できないと判断したのか説明しておらず、彼女の言語能力が不十分であるという審査官の判断を裏付ける証拠もなかったと訴えました。

しかし、連邦裁判所は、移民局の判断を支持し、却下の結果は覆りませんでした。

担当審査官は、カナダの雇用主のもとで予定されている彼女の職務内容に基づき、就労ビザ発行を拒否しました。審査官によると、職務と責任を考慮する場合、ある程度の語学能力が重要だと判断しました。

裁判所は、IELTSのスコアが「低い」こと、また彼女が語学力を裏付ける他の証拠を提出しなかったことから、担当審査官は彼女がこれらの要件を満たしていないと合理的に判断したと述べました。

さらに裁判所によると、IELTSの総合スコアが5.0というのは、ビジネスレベルのコミュニケーション能力ではなく、初級のコミュニケーション能力の証拠である、したがって、IELTSスコアの証拠は、その職種の要件を満たすには不十分であると結論づけた審査官は正当であった、とのことでした。

このケースの結果が意味するのは、職務に言語要件が明示されていない場合や、雇用主がポジティブLMIAレターを受けている場合に関わらず、申請者の言語能力に基づいて就労ビザが却下される可能性があるということです。

ビザ申請書類を作成する際、申請者は、関連すると思われるすべての情報を提供するようにしなければなりません。今回のケースを踏まえ、申請者が語学テストのスコアを提出する場合は慎重にしなければならないことがわかりました。テストスコア以外にも、英語教育プログラムの修了証や英語での説明書類など、語学能力を証明する証拠を提出できれば、より強力な証明となる可能性があります。

ビザや永住権の申請の際、移民局のウエブサイトなどに沿って「必要最低限の」書類のみを提出しても、審査に通らないことは多々あります。弊社の移民コンサルタントは、申請者ひとりひとりの状況を見ながら、このケースではこんなものを提出したら良いという判断をし、ご案内しています。言語のみならず何についても、証拠となる書類を充分に移民局に提供することで、却下の危険性をできる限り下げて申請しています。