永住権を保持するためには?意外と知られていない居住義務のルールの詳細 守れなかったらどうなる?
こちらの記事は動画でも解説しています
カナダ永住権を取得後、永住者としてのステイタスを保持するためには、5年ごとに必要となるPRカード(permanent resident card)更新のタイミングで、更新に遡る5年の期間のうち730日をカナダ国内に居住していなくてはなりません。お持ちのPRカードの有効期限が過ぎていても「過去5年のうち730日をカナダに居住」というルールが守られていれば、更新することができます。この730日は連続している必要はありません。PRカード更新については、こちらのページでも詳しくご案内しています。
この居住義務のルールを守ることができていないかも!と心配される方が、コロナ禍を過ぎて、続出しています。そこで、今回はこのルールを深掘りしてみましょう!
居住義務
移民法では「永住権を保持するためには、5年間のうち少なくとも730日間、以下のいずれかに該当する居住義務規定を遵守していなければならない」と定められています。
- カナダ国内に物理的に滞在している
- 以下のいずれかの関係のカナダ国籍保持者に同伴してカナダ国外に滞在している
– 配偶者
– コモンローパートナー
– 未成年の場合は親 - 以下のいずれかの雇用先でフルタイムでカナダ国外に雇用されている
– カナダの企業
– カナダの連邦政府または州・準州の行政機関 - 永住権を持つ配偶者、コモンローパートナー、または、未成年の場合は親に同伴してカナダ国外に滞在していて、その永住権保持者は以下のいずれかの雇用先でフルタイムでカナダ国外に雇用されている
– カナダの企業
– カナダの連邦政府または州・準州政府
居住義務を満たしているかどうかの判断
移民局の審査官は、PRカード更新の申請書が正式に移民局に受理された日時点で、以下のいずれかの条件に該当しているかを判断します。
1. 永住権取得から5年以上経過している場合
審査直前の5年間に居住要件を満たしていることを証明できる
2. 永住権取得から5年未満の場合
永住権を取得した日を起算日として、居住要件を満たしていることを証明できる
1. 永住権取得から5年以上経過している場合
移民局は、PRカード更新の申請書を受理した日の直前の5年間のみを審査します。長期に渡ってカナダ国外に居住していた人がカナダに戻った場合であっても、過去5年間に最低730日間居住しているのであれば、その人は居住義務を遵守し、永住者であり続けることになります。
2. 永住権取得から5年未満の場合
移民局がPRカード更新の申請書を受理した日がカナダ永住権の取得から数えて5年未満の場合、永住権取得日から5年の間に730日という基準を満たすことができれば、居住義務を満たすとみなされます。仮に永住者として最初にカナダ到着し、その後すぐ最長で3年間カナダ国外に居住したとしても、730日間カナダに滞在するという条件を満たす可能性がある限り、その人は居住義務を満たしていると認められます。
注:カナダを出国した日と帰国した日は、カナダに滞在していた日であるため、カナダ国外での滞在日数から除外されます。
居住日数または実滞在日数の計算方法
ケーススタディ①:永住者として5年未満
<状況>
申請者は2020年3月14日にカナダの永住者となり、アルバータ州エドモントンに居住していた。2020年9月30日、申請者は家族を訪問するためにカナダからブラジルに出発し、2022年1月2日にエドモントンに帰国した。帰国後、申請者はPRカードを紛失していたため、2023年7月13日に再発行の申請を提出した。
<実滞在日数の計算>
審査対象期間:2020年3月14日から2023年7月13日まで
永住権取得以来、申請者はカナダ国外に458日間滞在しています。永住権を取得して5年未満であるため、申請者が居住義務を果たすための期間があと1年半の猶予があります。しかし、カナダ国内の不在日数に基づいて、今後申請者が永住者としての居住義務を果たせる可能性があるかどうか、担当官が状況査定し判断します。
ケーススタディ②:5年以上の永住権保持者
<状況>
セネガル出身の申請者は、カナダ一時滞在者だったのち、2018年6月2日に永住権を取得した。その後、申請者はケベック州モントリオールに住み、休暇以外でカナダを離れることはなかった。2023年7月13日、申請者はPRカードの更新を申請した。
<実滞在日数の計算>
審査対象期間:2018年7月13日から2023年7月13日まで
申請者は5年以上永住権保持者であるため、申請日から遡って5年間が審査対象となります。申請者はカナダ国外に31日間しか滞在していません。したがって、申請者は5年間で730日間カナダに滞在していたことになります。
ケーススタディ③:カナダ国籍保持者に同伴してカナダ国外に滞在
<状況>
申請者は2000年11月12日より永住権を取得している。申請者は2002年1月1日から配偶者とインドに住んでいる。申請者の配偶者は海外で働くカナダ国籍保持者である。PRカードの有効期限が切れたため、2023年7月13日にカナダに戻るための永住者Travel Documerntを申請した。
<実滞在日数の計算>
審査対象期間:2018年7月13日から2023年7月13日まで
申請者は5年以上永住権保持者であるため、申請日から5年遡った期間から審査が開始されます。申請者は審査対象期間の全期間(5年間)カナダを不在にしています。しかし、申請者はカナダ市民である配偶者に同伴していたため、カナダを離れていた期間はカナダでの実滞在日数としてカウントされます。その結果、申請者は居住義務を維持したことになります。
H&C( humanitarian and compassionate)人道的および同情的配慮
H&Cの考慮はケースバイケースで検討されるため、ガイドラインだけに頼って判断が下されるものではありません。
申請者は、居住義務を満たしていないにもかかわらず、永住権を維持することを正当化するための個人的な状況を自由に提出することができます。申請書にはH&Cを考慮するためのスペースが確保されていますが、提出すべき特定の書式はありません。審査官は、申請者に公正な機会を与え、人権擁護の配慮の上で判断します。
申請者の意思が審査されるのではなく、むしろ、居住要件違反に至った理由や状況(5年間に発生した状況及び事象)が審査されます。審査官は、その決定によって直接影響を受ける子供の最善の利益にかなっているか、及び永住資格を喪失してしまった場合、その個人又は家族に対して決定によって引き起こされる可能性のある苦難の程度も考慮して、審査をします。
審査のポイント
違反の程度と状況
- 過去5年間のうち、3年を超えて何年間カナダ国外にいたか?
- 過去5年間のうち3年を超えてカナダ国外にいたのは、健康状態または近親者の健康状態のためか?
- 代わりの手配ができたか?カナダ国外に留まることを申請者が選択したか?
本人の意思によらない事情であったかどうか
- その人がカナダ国外に留まることになった状況は、やむを得ないものであり、かつ/またはその人の手に負えないものか?
- その人はカナダに戻ることを妨げられたか?
- なぜか?
- 誰によって、あるいはどのような出来事によって?
- その人は親に付き添われて子供としてカナダを出国したのか?
- 子供の時に出国した場合、現在できるだけ早い機会にカナダに帰国しているか?
- 現在22歳以上で、22歳になってからできるだけ早い機会に帰国しているか?
- 22歳以上の場合、精神的または身体的状態により扶養される子供とみなされる条件を満たしており、親がカナダを出国する際に同伴していたか?
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