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Express Entry rounds in the future could invite candidates based on occupation, language, or education.
政府は今後、エクスプレスエントリーシステムが、その時々の経済政策を適宜反映して永住権審査を進めていけるよう、移民大臣に決定権を持たせることを含めたシステムの変更を計画しています。
この変更内容について、各方面でニュースが発信され、徐々にその全貌も明らかになってきました。そのいくつかのニュースをまとめてご紹介します。
– Aiden Strickland氏(移民大臣の広報担当者)
まず、移民大臣の広報担当者Aiden Strickland氏は、CIC Newsに次のように語りました。「この変更が可能になれば、カナダ経済が求める人材を永住権申請者に選べるよう改善できる。」「永住権取得を目指しているエクスプレスエントリーの登録者は日々増えている中、例えば、医療関係の仕事の資格がある人や、ある一定の言語スキルがある人など、需要の高い人材をターゲットにしてドロー(ITA発給)を行うことが可能となります。カナダの労働不足の状況に、より直接的に応えることができるようになるのです。」
エクスプレスエントリー改定案の議会提出
– Philip Somogyvari氏(カナダ移民局長官 Director General)
5月19日に行われた移民市民権常任委員会(Standing Committee on Immigration and Citizenship:カナダ移民に関する問題を研究するために選出された役員で構成)にカナダ移民局(IRCC)から出席したPhilip Somogyvari氏は、エクスプレスエントリーの改正案を提示しました。
そこでSomogyvari氏は、この改正案は、エクスプレスエントリー登録者への新しいInvitation to Apply(ITA)発給システムであるとし、移民大臣に新たな基準のもとでITA発給することを可能にする権限をに持たせるもので、それにより移民大臣が選定するカナダの経済需要に応えるものになると説明しました。
「新しく取り入れられる永住権申請の必要条件は、移民大臣によって設置される特定カテゴリーになると思われます。例えば、就労経験、学歴、言語スキルなどに基づいて決められるカテゴリーになります。」
「具体例として、カナダのテック(科学技術)分野の成長を促すために新移民を活用したいという経済ニーズがある場合、その分野での就労経験や関連する学歴を基準にした条件でのカテゴリーが設置されます。そして、そのカテゴリーの条件に当てはまった登録者の中から高いスコアの人にITAを送るという流れです。」
また、これらの特定の条件・基準なども含めたITAの詳細はIRCCウェブサイトに発表していくとのことです。そして、移民大臣はいずれの経済目標をサポートすべきかを特定する立場となり、この新システムを活用した特定カテゴリーへのITA発給実績について議会に年間報告をする必要があると説明しています。常任委員会では、NDP(社会民主主義政党)の移民評論家であるJenny Kwan氏より、「どのような職種がターゲットになるのか」の質問があり、これに対しSomogyvari氏は、現在のところ決まっていないと答えました。
就労経験や学歴、またはフランス語スピーカー(カナダのもう一つの公用語であり、少数派の言語コミュニティ)など、エクスプレスエントリーである特定層の候補者をターゲットにしたITA発給を行う、そのような権限は現在のところ移民大臣にありません。しかし、今回の法案 C-19 division 23 への改定案が可決された場合、それは変わる可能性があります。
「改定案が通れば、移民大臣はエクスプレスエントリー登録者からフランス語スピーカーのみにフォーカスしたドローの実施可能となります。現在、エクスプレスエントリーを利用するフランス語スピーカーにはボーナスポイントが加点され、ランキングにおいてのトータルスコアが上がります。ですが、ITAを受け取るには必ずしも十分ではない場合もあります。移民大臣に権限が与えられれば、理論的には、エクスプレスエントリー登録者の中から該当するフレンチスピーカー全員に招待を送ることも可能となります。」このようにSomogyvari氏は述べました。
どのようなグループをターゲットにしてITA発給を行うかを決定するプロセスは、また確定していません。Somogyvari氏によると、雇用主グループ、利害関係者、移民難民保護法の観点、カナダ労働省、各州や準州政府との協議によって決定されるであろうとのことです。
2022年、エクスプレスエントリーの今後について
【エクスプレスエントリーとは】
Federal Skilled Worker (FSW) プログラム、Canadian Experience Class (CEC)、Federal Skilled Trades (FST) プログラムの3つのフェデラル永住権申請カテゴリーと一部の州ノミネーションプログラムを管理するシステムです。このいずれかのプログラムでカナダに永住したい人は、エクスプレスエントリーに登録する必要があります。登録資格のある人は、就労経験、学歴、言語スコア、年齢、その他の要素でスコアが加点されます。カナダ移民局(IRCC)は高いスコアの人に永住権申請への招待、ITAを送ります。
エクスプレスエントリーの現状
この数ヶ月間、カナダ移民局は各州からノミネートを受けているPNP (Provincial Nominee Program) カテゴリーのみを対象にしたITA発給を行っています。パンデミックが始まった後、エクスプレスエントリーでの永住権申請のバックログ(未処理の申請案件)を大量に抱えることになり、その結果、2020年12月以降FSWプログラムのITAをストップ、2021年9月以降はCECカテゴリーのITAをストップしました。
ショーン・フレイザー移民大臣は、最近のニュースでFSWとCECカテゴリーの招待を今年7月には再開し、新たに受け付ける申請は通常の審査期間6ヶ月に戻すという発表を行いました。
なお、Somogyvari氏は、改正案を議会に提出した際、この改正によって、現行また将来の審査期間に影響を及ぼすことは無いと明言しています。
改定案に対し求められている協議
NDP(社会民主主義政党)の移民評論家のKwan氏は、提案されている改定案によって、実際に影響を受けるグループをリスト化するよう求めました。
– Jenny Kwan氏 NDP(社会民主主義政党)の移民評論家
「どのようなグループになるのか、議会の監視がないという事実に困惑を覚えます。選定されたグループが適正であるかどうか、また政府がどれほど効果的にカナダに経済的貢献をもたらす人たちを選ぶことができるのかついてのプロセスが明確になっていません。」
「各産業界がそれぞれに必要としている職種に関して提示できるきちんとした規格があり、またそれら職業のニーズを吟味する客観的な委員会を伴う透明性のある選択プロセスがないことには、このプロセスはロビー活動産業のネタになってしま可能性があります。そういったことは避けなければならず、確固とした基準と透明性のあるプロセスを確立する必要があります。」
常任委員長であるリベラル党のSalma Zahid氏は、5月27日までに改正案の変更リクエストを行うことを承認しました。Express Entryへの変更について調査を行うことを入国管理委員会(Immigration Committee)に依頼した財務省がこのリクエストを受け取ります。
この書簡は財務常任委員会が受け取り、5月30日(月)午前11時に始まる法案の条項ごとの検討会議にて、書簡の内容を修正案に加えるかどうか決定します。
ビザJPカナダの対応
このように、エクスプレスエントリーは2022年に大幅に改定される見込みであることが現実的になってきました。とはいえ、決定されていない詳細も多々あります。ビザJPカナダでは、今後もカナダ移民局だけでなく、政府関係各所の動向を注視し、先々を見据えた適切な提案をお客様にご提案できるよう努めたいと思います。
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