2025年6月25日、カナダ政府はポストグラデュエートビザ（PGWP：Post-Graduation Work Permit）制度における対象プログラムを大幅に見直しました。今回の改定は、カナダ国内の労働市場の最新の需要に即した内容となっています。

今回の変更は、以下の両方の条件に該当する留学生が対象です。

• 公立カレッジなど、Bachelor’s・Master’s・Doctoral Degrees以外のプログラム に在籍している
• 2024年11月1日以降 に学生ビザ（Study Permit）を申請した

今回の見直しでは、対象プログラムの追加と削除が大規模に行われました。

• 新たにPGWP対象となったプログラム数：119
• PGWP対象から外されたプログラム数：178
• 改定後のPGWP対象プログラム総数：920

新たに対象となった分野は、人手不足が深刻な産業分野で、以下のような分野が中心です。

• 医療・福祉
• 教育
• 職人系技能職（トレード）

一方で、運輸分野はすべてのプログラムが対象外となり、農業・食品分野は、1プログラムを除いてすべてPGWPの対象外となりました。

各分野において、PGWPの対象に大きな変動がありました。

農業・食品分野

対象外となった主なプログラム

• 農業（一般）
• 農業ビジネス／経営
• 農場／農場および牧場の経営
• 農業用動力機械の運転
• 作物の生産

教育分野

新たに対象となったプログラム

• フランス語教育
• 生物教師養成課程
• コンピューター教師養成課程
• 化学教師養成課程
• 演劇・ダンス教師養成課程

※教育分野で、PGWP対象外となったプログラムはありません。

医療・福祉分野

新たに対象となったプログラム

• 獣医学
• 獣医／動物衛生技術／技術者および獣医助手
• 歯科学
• 歯科臨床科学、一般
• 口腔生物学および口腔顎顔面病理学

対象外となった主なプログラム

• バイリンガル教育、多言語教育、多文化教育、その他 
• 多文化教育 
• 先住民教育 
• カレッジ/大学生カウンセリングおよびパーソナルサービス 
• 学生カウンセリングおよびパーソナルサービス、その他

STEM分野（科学・技術・工学・数学）

新たに対象となったプログラム

• 建築学
• 建築デザイン
• ランドスケープアーキテクチャ（造園）

対象外となった主なプログラム

• 農業・普及教育
• 天然資源／保全、一般 
• 環境学 
• 水、湿地および海洋資源管理 
• 環境／天然資源管理および政策、その他

新たに対象となったプログラム

• 建設管理、一般 
• 建設プロジェクト管理
• 潜水士、専門家およびインストラクター 
• キャビネット製作および製材 
• コンピュータ数値制御（CNC）機械工技術／CNC機械工

対象外となった主なプログラム

• ソーラーエネルギー技術
• 電気・送電設備工事／据付、一般 
• ビル（建築／不動産）メンテナンス 
• 建築／住宅／建築検査／検査員 
• ドライウォール施工（46.0404）

運輸系はすべてPGWP対象外となりました。例外はありません。

• 公共交通・インフラ計画
• 航空機整備
• 海洋整備／艤装・船舶修理技術／技能工
• エンジン機械工 高性能およびカスタムエンジンの技術者／整備士

PGWP対象分野とエクスプレス・エントリー・カテゴリーは、いずれもカナダの労働市場に重点を置いてカナダ移民局（IRCC）によって規制されています。

PGWPの対象となる専攻分野と、永住権申請制度であるExpress Entryのカテゴリーは、いずれもカナダ移民局（IRCC）が労働市場の動向を踏まえて管理しているものです。

PGWPでは、留学生のうち、カナダで需要の高い職業に関連する分野を専攻する学生を優先してビザを認める一方、Express Entryでは、永住権の選考において、労働市場のニーズに合致する候補者を優先的に選出する仕組みになっています。

このようにPGWPとExpress Entryの間には密接な関連性があるため、今年2月にも見られたように、Express Entryの優先職種の見直しは、PGWP対象専攻の改定にも反映される傾向があります。今回の変更も例外ではなく、Express Entryで新たに優先カテゴリーに追加された職種に対応する専攻分野が、PGWP対象として新たに認められています。

この関連性により、今年2月に見られたようなエクスプレス・エントリー・カテゴリーの変更は、PGWP適用分野の変更を反映する傾向があります。

PGWPを取得するためには、専攻分野の要件に加えて、語学力の条件もあります。

今回のPGWP対象プログラムの改定は、カナダでの就労や移民を目指す留学生にとって、大きな影響を与える可能性があります。希望する専攻がPGWP対象かどうかで、卒業後のキャリアや永住の可能性が大きく変わるため、2024年11月1日以降に就学許可（Study Permit）を申請した方は、必ずご自身の専攻分野がPGWP対象かを確認してください。

今回のPGWP対象プログラムの大幅な見直しは、特にカレッジや専門学校などでの就学を検討している留学生にとって重要な変更となります。2024年11月1日以降に就学許可を申請した/申請する方は、希望するプログラムがPGWP対象であるかを事前に必ず確認する必要があります。

PGWPは、カナダでの就労経験を積み、将来的に永住権を目指すための重要なステップです。専攻プログラムの選び方ひとつで、その後のキャリアや移民の可能性が大きく左右されるため、進学前の情報収集と専門家への相談がこれまで以上に重要になっています。

ビザJPカナダでは、最新の移民政策や労働市場の動向を踏まえた学校選び・専攻選びのアドバイスや、ビザ申請のサポートを行っております。進学・就労・移民に関してご不明な点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。