カナダのケベック州政府は、2026年から2029年にかけた今後4年間の移民方針案を発表しました。2025年6月5日にジャン＝フランソワ・ロベルジュ移民・フランス語化・統合大臣が州議会に提出したこの案は、州の定住能力や経済需要をふまえた移民受け入れの新たな方向性を示すものです。今回の方針では、一時滞在者にも初めて受け入れ数の数値目標が設定され、あわせて市民や関係機関から意見を募る「パブリック・コンサルテーション（意見募集）」が実施されます。

今回の計画案では、ケベック州として初めて一時滞在者（外国人労働者や留学生など）の受け入れ数にも明確な数値目標を導入しています。
具体的には、2029年までに以下の2つのプログラムの許可保持者数を2024年比で約13％削減するという方針です。

• 外国人労働者プログラム（TFWP）
• 国際留学生プログラム（ISP）

この背景には、州の受け入れ・定着能力への負担を軽減しつつ、地域の労働需要には引き続き対応するというバランスの取れた方針があります。

永住権申請者に関しては、以下の3つの選択肢が州から提示されています。

• 案1：2019～2024年の平均と比べて50％削減 → 年間 25,000人
• 案2：同30％削減 → 年間 35,000人
• 案3：同10％削減 → 年間 45,000人

いずれの案でも、すでにケベック州内に住み、フランス語を話し、労働市場のニーズに応える人材の優先受け入れが検討されています。

計画の発表とともに、いくつかの移民プログラムに対して新規申請の一時受付停止が延長されました。

対象となるプログラム

• ケベック・エクスペリエンス・プログラム（PEQ）
  • ケベック留学生ストリーム：2025年11月30日まで受付停止延長
  • 外国人労働者ストリーム：2025年6月5日より新規受付停止、同年11月30日まで
• 国外難民受け入れ（集団スポンサー制度）
  • 申請受付停止を 2027年12月31日まで延長

すでに提出済みの申請や、家族の追加申請（配偶者や子ども）には影響ありません。

2025年7月からは、新しいスキルドワーカープログラム「PSTQ（Skilled Worker Selection Program）」に基づく永住申請への招待が段階的に開始されます。招待の対象は以下のような条件を満たすケベック在住者です。

• 地方での就労または就学経験がある
• フランス語を話す
• 労働力不足を補う職種で勤務した経験がある
• 特別な才能を有する

このプログラムへの招待を受けるには、移民希望者がケベックのオンライン移民管理システム「Arrima」で事前に意向表明をしている必要があります。

今回発表された移民方針案については、一般州民や関係団体からの意見を2025年8月15日まで募集しています。以下の方法で意見提出が可能です。

• 市民関係委員会（Commission des relations avec les citoyens）に意見書を提出
• ケベック州議会ウェブサイトにてオンライン質問票に回答

ケベック州は、他州と異なる独自の移民制度を持つ州であり、今回の数値削減案や一時滞在者の調整方針は、全国的にも注目されています。特にフランス語能力や地域への定着性が強く求められるため、申請を検討している方は、今後の議論や正式決定の内容に十分注意する必要があります。

※ビザJPカナダではケベック州を対象とした申請サポートは行っておりません。
本記事は、ケベック州政府の公式発表をもとに編集されたものであり、詳細については公式サイトにてご確認ください。
公式発表（フランス語）はこちら