移民局関連ストライキ ― 続報・意外な影響
今年4月より継続中のカナダのThe Professional Association of Foreign Service Officers (PAFSO) の労働組合による
PAFSO組合員ビザ審査担当オフィサーのストライキに関し、移民申請やビザ申請への影響について、
トロントの日刊紙スターが興味深い記事を掲載しています。
スター紙が入手した政府資料によると、今年5月から7月の間に発給された永住権ビザは60,416件。
昨年同時期の数字65,255件と比較し、7.5%の減少となり、移民局ストライキの影響を如実にあらわしています。
一方で目を引くのが、短期滞在者ビザの発給数の数字です。
今年5月から7月の間に発給されたカナダ短期滞在者ビザの発給数(上位10か国からの申請者のみ)は296,531件。
昨年同時期の数字に対し、この数字はむしろ11%の増加を示しているということです。
296,531件の短期滞在者ビザの内訳は、観光ビザが242,316件、就労ビザが21,514件、学生ビザが32,701件。
PAFSO労働組合の責任者ティモシー・エドワード氏によると、これは政府がスタッフを短期滞在者ビザの審査用に移したためだ、
ということです。ストライキが長期化の兆しを見せ始めて以来、オタワ移民局本部は、カナダの観光産業および教育産業が
ストライキの影響を受けないよう、厳しい批判と圧力にさらされています。このため
「永住権ビザ発給にまわされるべきスタッフが大幅に手薄になり、年間目標の永住権発給数にも達せられなくなってきている」と
スター紙はエドワード氏のコメントを紹介しています。エドワード氏によると、カナダ国内のビザ審査担当オフィサーも
海外オフィスの申請書類の審査をするように指示されている、ということです。
移民局はこれを否定。永住権ビザ発給に関わるべきスタッフを短期滞在者ビザ発給向けに回しているという事実はない、としています。
移民局当局では、審査補佐の目的でカナダ人スタッフを臨時スタッフとして雇い入れた、と説明しています。
一方で、労働組合では、経験や知識の足りないスタッフを雇い入れ審査に組み込むことは、
むしろ移民局プログラムの信用を損ねることになりかねない、と懸念を示しています。
短期滞在者ビザの発給数は、ストライキが始まった今年5月および6月には劇的に減少、
しかし、観光産業界および教育産業界の強い懸念がメディアを賑わしたのちの7月に、劇的に増加したということです。
たとえば、中国からの観光ビザ発給数は2012年5月と6月がそれぞれ29,788件と26,190件。今年5月および6月は20,648件と24,854件。
ところが今年7月の発給数は35,586件であり、2012年7月の発給数17,855件の2倍となっています。
海外ビザオフィスのビザ審査担当オフィサ-の給料格差をめぐる、この6か月に及ぶストライキ。
いまだ解決のめどは見えていない、ということです。
